研究課題/領域番号 |
26280035
|
研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
山田 茂樹 国立情報学研究所, 研究戦略室, 特任教授 (80332154)
|
研究分担者 |
計 宇生 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (80225333)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ネットワーク / 移動体通信 / インターネット高度化 / 先端的通信 / スマートセンサ情報システム |
研究実績の概要 |
IoT分散サービスをスケーラブルに実現するため、クラウドとSDN (Software Defined Networking)を連携した分散知的アーキテクチャ3DIA (Three-Tier Distributed Intelligence Architecture for IoT)に基づいて、IoT向きルーティング、トラヒックエンジニアリング、ローカル/グローバルなシステム最適化を行うSDN制御、及びSDR (Software Defined Radio)に基づく IoTデバイスの効率的な無線リソース割り当て手法等の技術に関する研究を行った。 (1)SDNコントローラの制御技術:IoT制御アプリケーションとSDNコントローラ間に粒度の高いNorth Bound API (Application Programming Interface)を提供する提案を行った。その結果、OpenFlowインタフェース方式に比較して制御トラフィック量とイベント処理時間は削減したが、イベント処理スループットが低下することが分かった。また、SDNによる通信路高速切替えメカニズム(Fast Failover等)と、それらの広域バックボーンネットワークへの適用を検討し、実証実験とシミュレーションで高い適用性があることを確認した。 (2)SDR実現技術:IoT分散サービスの無線リソース制御としてコグニティブ無線の周波数リソース借用及び動機づけの方策を検討し、サービス品質、安全性等を確保する制御フレームワークを提案し、周波数の利用効率を改善できることを確認した。また、基地局を介しないデバイス間直接通信として車々間ネットワークや、その他一般的なデバイス間通信実現方法を検討し、無線チャネル間干渉を抑えるためのクラスタリングを行い、デバイス間で電力制御を最適化する方法を見出した。さらに、ハイパーグラフを利用してセル範囲を超えたデバイス間通信を可能とするリソース割り当てアルゴリズムを提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SDN制御技術とSDR制御技術を理論面と実装面でバランスよく検討した結果、ほぼ、当初の想定どおり、研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
(1) SDNコントローラ実現技術 大規模ネットワークトラヒックの最適経路制御手法としてSDNとSource Routing法を組み合わせた新しいルーティングとトラヒックエンジニアリング方式について検討する。また、そのための計算複雑度を抑えるためにネットワークノード数を最適化する手法を検討する。また、緊急、イベント、災害などによる大規模ネットワークトラヒックの混雑軽減のため、ビッグデータ解析に基づくSDN最適トラヒックエンジニアリング方式の検討を行う。 (2) SDR実現技術 RI層とLI層でシームレスに無線リソースを管理する制御法を検討する。具体的にはVehicular Network(車載用ネットワーク)において移動車両(A)にビデオストリームサービスを効率よく提供するため、路側の無線設備(R)と移動車両(A)間の通信チャネル品質が劣化した時に、通信チャネルに余裕がある別の移動車両(B)が路側の無線設備からビデオストリームを受け取り、移動車両(A)にフォワードしてネットワーク全体で高性能を維持する協調型車載用ネットワークを検討する。この検討ではSVC (Scalable Video Coding)方式を前提に各移動車両に割り当てるべきビデオレイヤの数、中継移動車両(B)の選択方法、無線チャネルリソースの無線設備-移動車両間通信(R-A間通信)と移動車両間通信(A-B間通信)における無線リソース配分方法を明らかにする。また、SDNに適用する無線リソースの仮想化について検討する。特に、分散アクセスのような無線LANにおける無線リソースを管理するためにキューマッピングによる統計的な無線リソース割当方式を検討する。 本研究で研究代表者(山田茂樹)は全体統括及びSDNコントローラの制御方式の検討を、研究分担者(計宇生)はSDRの実現法を担当し、定期打ち合わせで両者の整合を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
SDN駆動ネットワークリソース制御用実験用に機器収納ラックの購入や機器取り付け等の費用を見込んでいたが、所内で活用できるラックが得られ、機器取り付けも外注せずに自分達で実施した結果、平成27使用経費を削減することができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本研究の最終年度として多くの成果発表が期待できるので、次年度への繰り越し分は、国際会議発表のための旅費、参加費や雑誌掲載料等、研究成果発表用の所要経費として有効活用したい。
|