• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

スマートフォンのための屋内音響測位インフラストラクチャの研究

研究課題

研究課題/領域番号 26280036
研究機関国立情報学研究所

研究代表者

橋爪 宏達  国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (40172853)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード音響測位 / 室内測位 / スマートフォン / CMOSカメラ / 時刻同期 / 可視光通信 / デジタル信号処理 / ローリングシャッター
研究実績の概要

本研究の新しい展開として、LED光源の信号によりシステム側とスマートフォン間で同期をとり、測定精度を向上させる着想について、理論の深化と実験システムによる効果の確認を行った。計測手法は従来のTDoA法に加えToA法の使用が可能になり、その結果、従来100mmほどであった計測精度限界を数mmまで向上させることに成功した。
スマートフォンによれば、測位のための音響信号と同時に、動画カメラにより発音タイミングを示すLED発光を観測できる。しかしカメラは毎秒60フレーム程度の撮影しかできず、そのままでは1/60秒以上の時間分解能をもたず、従来は測位のための10万分の1秒程度の同期には使用できないと考えらえていた。われわれは、スマートフォン・カメラにはCMOS撮像素子が搭載されており、そのローリングシャッター効果を併用することで時間分解を1000倍程度向上可能であることに着想し、その技術を本研究の一環として 平成26年度に特許申請し、また音響測位研究もそれに基づくものに方針を修正した。平成28年度はその効果を実測したが、測位精度を 50倍程度に高める効果をもつことが立証され、ひきつづきこの路線でのスマートフォン測位システム構築を行うことの妥当性が証明された。
これらの成果は国際学会において発表した。また研究過程で得られた特許内容の追加事項を、国内優先権出願の形式で特許項目の追加として申請した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

実験開始当時に着想されていなかった、光同期を併用した音響測位技術開発し、それを研究に取り込めた。同技術により想定していた測位精度を大幅に高めることが可能となり、またシステム構成も簡略となることがわかった。光同期による手法は新発明であり、知的財産権の出願につながった。光技術を主体とした新しい研究展開も可能となった。
これら成果は当初案での研究成果想定を超えるものであり、計画以上の進展があったと判断している。

今後の研究の推進方策

最終年度はそれまでに開発した技術をとりまとめ、屋内測位システムとして完結した動作をさせることを予定していた。その実施が可能な状況となっている。
研究計画どおり、音響測位システムを構築し、性能を確認したうえで、最終的な成果発表を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

最終年度で実験的な測位システムの製作を想定していたが、研究の展開でより複合的な機能のシステムとしてそれを実現する必然性が高まった。設計に日時を要するとともに、製作費用も想定のものより多くなる見通しである。一方で研究資金は、研究計画段階より交付決定額は減額されている。
このような状況で最終年度の実験システム製作を有効に行うため、平成27年度後半から実験システム設計を前倒しで集中実施し、購入物品として 27年度研究費の一部を 28年度のものと合わせて執行することが、より多くの成果をもたらすものと考え、基金化された研究費制度を有効活用し、一部予算執行を次年度送りとした。

次年度使用額の使用計画

平成29年5月段階で最終的な実験システムの設計は完了しており、上記予定に準じてすみやかに執行する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 高速高精度デバイス間同期技術とその応用2016

    • 著者名/発表者名
      橋爪宏達、杉本雅則
    • 雑誌名

      化学工業

      巻: 67 ページ: 85-88

  • [学会発表] A Rapid and Accurate Time-synchronization Technique for Acoustic Localization Using Modulated Illumination2015

    • 著者名/発表者名
      Hayato Kumaki, Masanori Sugimoto, Takayuki Akiyama, Hiromichi Hashizume, Taishi Saito
    • 学会等名
      International Conference on Indoor Positioning and Indoor Navigation (IPIN2015)
    • 発表場所
      Banff Canada
    • 年月日
      2015-10-15
  • [学会発表] SyncSync: Time-of-arrival Based Localization Method Using Light-synchronized Acoustic Waves for Smartphones2015

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Akiyama, Masanori Sugimoto, Hiromichi Hashizume
    • 学会等名
      International Conference on Indoor Positioning and Indoor Navigation (IPIN2015)
    • 発表場所
      Banff Canada
    • 年月日
      2015-10-15
  • [産業財産権] 同期タイミング検出システ及び検出方法、測距システム及び測位システム、並びに受信装置及びそのプログラム2015

    • 発明者名
      橋爪宏達、杉本雅則、秋山尚之
    • 権利者名
      大学共同機関利用法人情報・システム研究機構国立大学法人北海道大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2015-196873
    • 出願年月日
      2015-10-02

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi