研究課題/領域番号 |
26280042
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
角谷 和俊 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (60314499)
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研究分担者 |
中島 伸介 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (90399535)
河合 由起子 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (90399543)
北山 大輔 工学院大学, 情報工学部, 助教 (40589975)
若宮 翔子 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 研究員 (60727220)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地理情報システム / 地域特性 / ユーザ意図抽出 / 意思決定行動分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、交付申請書において記述した目的を達成するために、1. 群衆移動の経験と感情による感覚的歪み分析に基づく社会認知的地域特性抽出,2. ユーザ移動時の意思決定行動分析に基づく意図抽出,3. 社会認知的地域特性抽出と意思決定行動分析による応用アプリケーション開発,の3項目に絞って研究開発を行った. 1. 群衆移動の経験と感情による感覚的歪み分析に基づく社会認知的地域特性抽出では,26年度に引き続き群衆経験に基づく感覚的歪み分析による地域の社会認知的特性の抽出について研究を実施した.また,ユーザの嗜好に関わるプロファイルを考慮して群衆を分類した.これにより,特定のトピックに基づくユーザグループの感覚的歪みに基づく認知的地域特性の抽出への拡張を行った. 2. ユーザ移動時の意思決定行動分析に基づく意図抽出では,26 年度に開発した地理オブジェクト決定支援および経路決定支援に対する個々のユーザ意図抽出技術を用いて,これらの技術を相互に利用する統合技術の開発に取り組んだ.具体的には,(1)経路選択意図を統合した地理オブジェクト決定支援への拡張,(2) オブジェクト選択意図を統合した経路決定支援への拡張に関して検討した. 3. 社会認知的地域特性抽出と意思決定行動分析による応用アプリケーション開発では,社会認知的地域特性を用い意思決定行動分析をより高度化し,意思決定行動を集約することで新たな社会認知的地域特性の抽出に取り組んだ.次世代セマンティック・モバイル・コンピューティング情報基盤の有効性を評価するために,アプリケーション開発に取り組んだ(感覚的歪みを考慮した社会認知的地域特性可視化システム・ユーザ行動と地域特性を用いた意思決定行動支援システム).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に前倒しで実施した「群衆経験に基づく感覚的歪み分析による地域の社会認知的特性の抽出に関する研究開発調査」により,各開発項目ともに計画に従って,目標を達成した.引き続き,3拠点における研究進捗状況を共有するために遠隔会議システムを利用し,月に1,2回程度の密なミーティングを行っている.その結果,平成27年度に開発を行った各手法において,その評価手法に対する適切なフィードバックを共有し,効率的に評価実験を行ったことで,人件費・謝金を翌年に繰り越して用いることが可能となっている. 成果としては,国際論文誌に1件,国内論文誌に2件の論文が採択された.また,International World Wide Web Conference (WWW2015, WWW 2016(demo))のような著名な会議を含む国際会議に9件の論文が採択され発表を行い,国内研究会では11件の発表を行った.さらに,BigDAS 2015 Best Paper Awardなど計3件受賞するなど高く評価されている.
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今後の研究の推進方策 |
1.群衆移動の経験と感情による感覚的歪み分析に基づく社会認知的地域特性抽出では,これまで取り組んできた特定のトピックに基づくユーザグループの感覚的歪みの抽出と認知的地域特性抽出を拡張し,社会認知的特性を効果的に可視化する社会認知マップを構築し,有効性を検証する. 2.ユーザ移動時の意思決定行動分析に基づく意図抽出では,27年度までに開発した地理オブジェクト決定支援および経路決定支援に対する個々のユーザ意図抽出技術を用いて,ユーザの移動をより効率的に支援することが可能な意思決定行動を改良する. 3.社会認知的地域特性抽出と意思決定行動分析による応用アプリケーションでは,それぞれ以下の応用アプリケーションを構築することで有効性評価を行う. 【(1) 感覚的歪みを考慮した社会認知的地域特性可視化システム】意思決定行動を集約することで新たな社会認知的地域特性について検討し,地図変形の機能を有する感覚的歪みを考慮した社会認知的特性可視化システムを開発する. 【(2) ユーザ行動と地域特性を用いた意思決定行動支援システム】社会認知的地域特性を用いることによる意思決定行動の分析を検討し,物理量と人間の感覚を統合した意図抽出を行うシステムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表の角谷の担当分である評価に関する費用を次年度にまとめた.また,研究分担者の中島が27年9月より28年9月まで米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UC Santa Barbara)にて,Visiting Scholarとして滞在中であり,27年度の計画が予定通り進まず,次年度使用額が生じることになった.
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に使用予定であった内容を28年度の使用予定と合わせて使用する.具体的には,PCソフトウェアやプリンタ消耗品の購入用に物品費として使用する.研究成果発表および資料収集を行うため,旅費として使用する.英文校閲および評価実験の実験補助用に人件費・謝金として使用する.学会参加費および論文誌掲載用にその他として使用する.
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