研究課題/領域番号 |
26280045
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩田 哲 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90344837)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 暗号・認証等 / 共通鍵暗号技術 / 認証暗号化方式 |
研究実績の概要 |
共通鍵暗号技術は、ネットワークやコンピュータの安全性を保護するための基盤となる技術であり、本研究では、データの暗号化と認証を同時に実現する「認証暗号化方式」について研究を進める。 認証暗号化方式GCMは様々な国際標準に採用されており、広範に実用化されている。また、優れた認証暗号化方式のポートフォリオを定めるCAESARコンペティションが現在進められており、GCMはベンチマーク方式として定められている。本研究ではまず、GCMの証明可能安全性について詳細な解析を行った。その結果、従来の安全性証明手法に従う限り、GCMの安全性限界式に現れる2^22という定数が、2^19.74を下回ることはないことを示した。さらに、安全性証明においてsum boundを回避するという証明手法を考案し、従来知られている安全性限界式よりも、実際にはGCMが2^17倍程度高い安全性を有していることを数学的に証明することに成功した。本研究成果により、国際会議FSE 2015においてBest Paper Awardを受賞した。 次に、CAESARコンペティションへ応募した認証暗号化方式CLOCについて、Tweak関数の設計の最適性という観点から解析を行った。その結果、安全性証明に用いられている55通りの条件のうち、12通りは必要であることを明らかにした。 また、CAESARコンペティションへ応募した認証暗号化方式SILCについて、安全性限界式を導出し、ソフトウェアとハードウェア実装評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度はGCMの安全性限界式の厳密性を精査すること、CAESARプロジェクトに応募されている認証暗号化方式の安全性解析、実装性能解析等を進める計画であった。計画した項目について、一定の成果が得られており、おおむね計画通りに研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
CAESARコンペティションは引き続き進められており、認証暗号化方式の研究は活発に進められている。本研究では引き続き、GCMをはじめとする既存の認証暗号化方式の安全性検証を進める予定である。また、CAESARコンペティションに応募されている認証暗号化方式の安全性解析、実装性能解析を行う予定である。さらに、本コンペティションに運営の面からも貢献する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機等の物品費の一部を27年度の購入としたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に計算機等の物品費に充てる予定である。
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