研究課題
共通鍵暗号技術は、ネットワークやコンピュータの安全性を保護するための基盤となる技術であり、本研究では、データの暗号化と認証を同時に実現する「認証暗号化方式」について研究を進める。現在、認証暗号化方式のコンペティションCAESAR が進められており、提案中のCLOCおよびSILCが第二ラウンド候補として選出された。第二ラウンド候補には仕様のアップデートが許されており、CLOCとSILCの同じ鍵での共用を考慮し、ナンスのフォーマットを変更した。また、これらの方式のハードウェア実装評価を行い、CLOCの設計の最適性の解析を行った。CAESARの運営面について、第二ラウンド候補の選定作業に参画した。GCMはCAESARにおけるベンチマーク方式であるとともに、広く実用化されている認証暗号化方式である。GCMの証明可能安全性についての解析を進め、従来の安全性証明にあった定数32を半減できることを示した。また、その他の関連する認証暗号方式としてChaCha20とPoly1305を組わせた方式とGCM-SIVの安全性解析を進めた。ブロック暗号とTweakableブロック暗号は認証暗号方式をはじめとする様々な技術への応用があり、Tweakableブロック暗号の構成法について、汎用的にTweak長を拡張できる方式を設計した。設計した方式は、安全性の面で従来方式より優れていることを示した。また、軽量ブロック暗号Simonに関する安全性解析を進めた。
2: おおむね順調に進展している
27年度はCAESARプロジェクトに応募されている認証暗号化方式の安全性解析、実装性能解析やGCMの安全性限界式の厳密性を精査すること等を進める計画であった。計画した項目について、一定の成果が得られており、おおむね計画通りに研究が進んでいる。
これまでの推進方策からの大きな変更はない。引き続き既存の認証暗号化方式の安全性検証、CAESARに応募されている方式の安全性解析、実装性能解析を行うとともに、ブロック暗号をはじめとする認証暗号方式の関連技術の解析を進める予定である。また、CAESARに運営の面からも貢献する。
次年度に開催予定の国際会議に経費が必要であると判断し、物品費、旅費を削減したため。
次年度開催予定の国際会議の開催費に充てる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
IEICE Trans. Fundamentals
巻: E98-A(10) ページ: 2152, 2164
10.1587/transfun.E98.A.2152