研究課題/領域番号 |
26280050
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
星 詳子 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (50332383)
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研究分担者 |
精山 明敏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70206605)
谷川 ゆかり 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20344202)
川口 拓之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (60510394)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 感情 / ヘモグロビン / 皮膚血流 / NIRS / 社会脳 |
研究実績の概要 |
拡散光トモグラフィ(DOT)の画像再構成アルゴリズムとして、拡散方程式に基づく線形化画像再構成アルゴリズムの開発を行った。空間感度分布については、Dartmouth College が一般公開しているソフトウェアパッケージ(NIRFAST)を用いた。また、我々が独自に開発している非線形逐次画像再構成法を用いて、アルゴリズムの検証を行うことにした。高密度拡散光トモグラフィ(HD-DOT)を実施するために、倍密度用ホルダーキットを用いて、光ファイバホルダーを作成した。HD-DOTは、皮膚血流の影響を取り除き、より選択的に脳に由来するHb変化を検出するために用いるが, まず、構築した画像再構成アルゴリズムの性能を評価する必要がある。そこで、通常のホルダーと倍密度ホルダーを用いて、フィンガータッピング遂行時に計測を行い、光トポグラフィ(脳外組織と脳内組織の信号を区別することなく、Hb濃度変化と光路長の積の分布を画像化)とHD-DOTによる画像再構成(脳内Hb変化の分布を画像化)にどのような違いがあるのかを確認する実験を行った。しかし、倍密度ホルダーは通常のホルダーに比べて柔軟性を欠き、手指の知覚運動野を覆う頭皮上に密着させることが困難で、様々な工夫を凝らしたが、一部の送・受光ファイバペアにおいてS/Nが低く解析に用いることができなかった。そこで、認知課題遂行時に前額部(前頭極、背・腹外側前頭前野)で計測を行い、本アルゴリズムに課題遂行に伴う皮膚血流除去効果があることを確認した。しかし、受光部のダイナミックレンジに限界があり、用いることができる光ファイバの送・受光ペアが少なく、皮膚血流除去効果はまだ完全ではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィンガータッピングに対する知覚運動野の反応の検出精度でDOT画像再構成アルゴリズムの性能評価を試みたが、CW-DOT用に特別に開発された装置ではなく、通常のマルチチャンネル近赤外線イメージング装置を一部改造した装置を用いたため、ダイナミックレンジに限界があり、光ファイバ配列でこの問題を解決することを試み、計測に予想以上の時間を要した。前額部での計測から皮膚血流除去効果については確認できたが、光ファイバの破損事故が発生し、新規作成に時間がかかり研究の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚血流除去効果を向上させるために、アルゴリズムの改良を行い、新たにファイバホルダーを作製して、フィンガータッピングに対する知覚運動野の画像再構成を再度試みるが、時間がかかりそうな場合は、ファントム計測でDOT画像再構成アルゴリズムの検証を行う。また、非線形逐次画像再構成法との比較も行う。アルゴリズムの検証後, 本研究で作成した課題遂行中の脳血流変化を前額部で計測しDOT画像再構成結果から、感情生成・制御における前頭極、背・腹外側前頭前野の役割を明らかにし、fMRIの結果と比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に必須の光ファイバが破損し、急遽発注をしたが、特注製品で発注から納品までに3か月以上かかり、平成28年度内納品が不可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度4月に新しい光ファイバが納品された後は、速やかに前年度行うことができなかった計測を開始して、研究をまとめる。
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