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2014 年度 実績報告書

メタ認知を支える神経基盤と多重モデルの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26280052
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

小村 豊  独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (80357029)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードメタ認知 / 自信
研究実績の概要

メタ認知(metacognition)は、cognition about cognitionと呼ばれ、より上位のメタな視点から、自己の内部の状況を、モニターする能力を指す。自己の判断の確からしさ(自信の程度)を報告する能力は、メタ認知の典型例である。これまで、メタ認知の内容は、本人にしかアクセスできないもので、ヒトの言語報告に頼っていたが、近年、非言語なテストを用いて、その能力の一端を評価することができるようになってきている。そこで本プロジェクトの一つとして、動物(サル)を対象に、非言語的なメタ認知課題を遂行させ、その時の神経活動を多数記録し、メタ認知をつかさどる神経メカニズムの詳細を明らかにすることを計画している。初年度にあたる本年度は、主にサルの行動実験を立ち上げた。サルには、ドットモーションの刺激を提示して、その動きの向きの判断をさせた後に、その判断に対する自信の高低を、2種類のバーの選択行動によって推定した。すなわち、知覚判断が正しいときに大きな報酬をもらえ、間違えたときには、報酬が全くもらえないハイリスク・ハイリターンのバーと、知覚判断の正誤を問わず、少量の報酬しかもらえないローリスク・ローリターンのバーである。ドットモーションのコヒーレンスを変化させて、複数のサルの行動データを解析すると、視覚刺激が曖昧になればなるほど、知覚判断の誤答率が増加すると同時に、ローリスク・ローリターンのバーを選択する率が増加した。以上の結果は、動物が下した判断に対する自信が高いとには、ハイリスク・ハイリターンのバーを、自信が低いときは、ローリスク・ローリターンのバーを選択すること、その選択率によって、動物のメタ認知を定量化できることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度として、予定どおりに、実験を遂行できた。

今後の研究の推進方策

動物実験とともに、ヒト心理実験にも着手する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた研究会が、キャンセルになった。

次年度使用額の使用計画

実験を進めると当時に、その結果について、所外の研究者も交えて、議論する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Cerebral hierarchies: predictive processing, precision and the pulvinar2015

    • 著者名/発表者名
      Kanai, R., Komura, Y., Shipp, S., Friston, K.
    • 雑誌名

      Philosophical transactions of the Royal Society B

      巻: 370 ページ: -

    • DOI

      10.1098/rstb.2014.0169

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 知覚意識のニューロサイエンス2014

    • 著者名/発表者名
      小村豊
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 32 ページ: 890-893

  • [雑誌論文] ヒト視覚経験を測る主観・客観プロキシと制御因子2014

    • 著者名/発表者名
      新國彰彦、沼田憲治、小村豊
    • 雑誌名

      Vision

      巻: 26 ページ: 41-41

  • [学会発表] セルフの神経機構とその病態展望2015

    • 著者名/発表者名
      小村豊
    • 学会等名
      Cognitive Neuropsychiatry and Affective Neuroscience
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-01-30 – 2015-01-30
    • 招待講演
  • [学会発表] Empirical approaches to selfhood from neurons to behaviors2015

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Komura
    • 学会等名
      Integration of mind, Mechanism of brain and mind
    • 発表場所
      北海道
    • 年月日
      2015-01-08 – 2015-01-08
    • 招待講演
  • [学会発表] Self-assessment of conscious vision in monkeys and humans2014

    • 著者名/発表者名
      Nikkuni, A., Miyamoto, A., Komura, Y.
    • 学会等名
      International Symposium on Vision, Memory, Thought
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-12-06 – 2014-12-07
  • [学会発表] 知覚の確からしさと課題特異性2014

    • 著者名/発表者名
      新國彰彦、沼田憲治、小村豊
    • 学会等名
      脳機能とリハビリテーション研究会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2014-04-20 – 2014-04-20

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公開日: 2016-06-01  

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