研究課題
H26年度に,聴覚系末梢での微弱信号抽出機能を探るために,アブラコウモリ(Pipistrellus abramus)で,有毛細胞由来の蝸牛マイクロフォン電位(CM)と蝸牛神経由来の複合活動電位(CAP)を覚醒状態で計測した.CAPではFMパルスの端末周波数40 kHzに対する感度が高く,微弱エコーを増幅して昆虫の羽ばたきを検知する機能が蝸牛内に存在することが分かった.同じくH26年度に,コウモリ聴覚系脳幹での音情報抽出機構を脳顕微内視鏡で解明するために,予備実験としてマウス下丘での聴覚機能・構造計測を行った.細い光ファイバー(外径300マイクロm,6000本束)から成る脳顕微内視鏡をマウス下丘に挿入し,音刺激に対する反応をカルシウム感受性色素Oregon greenの励起反応を用いて,輝度変化として記録した.この結果,ホワイトノイズ(white noise)やトーンバースト(tone burst)に対する反応を記録し,同一刺激に対して空間的に複数の箇所が同時に反応していることが分かった.また,低周波数に反応する部位は脳表に近い背側部分,周波数が高くなるにつれて反応部位が腹側に移動することも確認した.H27年度に開始したコウモリでの脳顕微内視鏡計測で,H28年度にはオオクビワコウモリ(Eptesicus fuscus)とセバタンビヘラコウモリ(Carollia perspicillata)の下丘内カルシウムイオン計測に成功した.各々のファイバーの径である300マイクロメートルの空間分解能で,下丘内カルシウムイオンの活動状態がわかった.しかし,可視領域面スキャンに時間を要し,1データポイント取得に50ミリ秒必要とした.そこで,ラインスキャン計測法を開発し,1データポイント取得に132 マイクロ秒という驚異的時間分解能を実現し,高時間分解能が必要な聴覚系研究に対応可能となった.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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