研究課題
本研究の目的は,人間の自己運動知覚メカニズムと,自己運動時の視聴覚による外界空間認識メカニズムを明らかにし,その知見に基づいて,視聴者の自己空間を精密に再現可能な自己運動感応型VR空間創成技術を構築することである。平成28年度は本研究の最終年度にあたり,これまで得られた知見の精緻化を目指すとともに,国内外において成果発表を積極的に行い得られた知見の評価・深化を進めた。これまでにも自己運動時に知覚される音空間が実際の物理的な空間と比較して歪んでいるという知見が得られてきたが,この様相をより詳しく見るべく仮現運動する音源を用いて実験を行ったところ,聴取者に対して接近する音源の方が離れていく音源に比べ移動の弁別限が低い可能性があるという知見が得られた。これらの知見を総合すると,バーチャルリアリティ技術で様々な感性空間を創成する際には,自己の動きに対応させて特に音源が接近するような場合に,同時提示する視覚情報を実際よりも近くに提示した方がよりリアルに近くさせられる可能性が示唆される。ちなみに,バーチャル空間における奥行き情報の操作と高次感性知覚に関しては,3次元映像を付加した多感覚コンテンツを用いた実験により,奥行き情報を付加することにより,他の感覚情報から誘起される臨場感,迫真性を協調する可能性が示されている。高次感性知覚という観点では,振動を含む多感覚コンテンツの感性評価を通して,音情報と振動情報が密接に関連しているという結果が示された。この知見も将来の多感覚バーチャルリアリティシステムを構築する際に,システムを通して提示する感覚情報の創成という観点で重要である。以上の成果から,本研究が目指した自己運動感応型VR空間創成技術に必要な要素技術とその知見を用いたシステム設計指針の確立への第一歩が実現できたと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
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