本研究の目的は,多感覚情報処理過程として知られる自己運動知覚に着目し,視聴者周囲の空間を対象として,その空間内での視覚-聴覚-前庭覚による自己運動知覚メカニズムの解明と,そこでの視聴覚情報処理メカニズムを明らかにし,その知見を自己運動感応型VR空間創成技術へと深化させることである。研究の結果,自己運動時における外界知覚では,自己運動自体と密接に結びついて提示されることになる感覚情報の整合性が重要であること,さらに,外界環境の変化の検知において自己運動とその変化の関連が重要な役割を果たしていることといった,自己運動感応型VR空間創成技術の確立に必要不可欠な基盤的な知見を得ることができた。
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