研究課題
本課題の目的は、視覚・聴覚・発話などの機能が低下したり失ったりした障害者・高齢者(以下、当事者)のために、「聞く」「話す」「見る」を触覚で代行・補助する感覚・コミュニケーション支援デバイスを設計・開発することである。特に、当事者の手指に伝達する小型の振動子マトリクス型触覚ディスプレイを実用化し、それと携帯電話などに接続できるインタフェースを開発して触覚デバイスをウェアラブルにする。また、その技術的な成果をバーチャルリアリティ(VR)やロボットに生かしながら、一方では、触覚を介した情報の脳内処理について認知科学的な新しいテーマを提供することである。平成30年度までには、目的とする触覚デバイスのハードウェア制作と最適なパラメータ設定を行い、実現可能性の高いものから実用化への道筋をつけた。また、本触覚デバイスの低価格化や小型化を進め、感覚・コミュニケーションの障害支援だけでなく、高齢者や一般ユーザの情報授受の手段として利用できるように汎用化し、普及させるための産業化モデルを探った。平成31年度(令和元年度)は、前年度に開発した「触覚ゲーム」に音情報などを組み合わせたマルチモーダル刺激を提示したときに、それをヒトの感覚や脳がどこまで有効に利用できるのかを認知科学的な観点から考察した。同時に、前年度に安定供給できるようになった振動アクチュエータを用いて、携帯電話(スマートフォン)に接続可能な汎用インタフェースを開発・実用化した。この汎用デバイスは、カメラやマイクなどの各種センサで捉えた情報を触覚情報として提示でき、しかも端末を介して遠隔から双方向に触覚情報を授受できるので、視・聴覚障害者だけでなく盲ろう者支援用デバイスとしても有用である。さらに、一般ユーザの情報授受の手段、ロボットやVRのための触覚デバイスなどへ用途を広げることにより、産業化への道が拓かれると考えている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
情報処理学会 アクセシビリティ研究会において、"リアルタイム多感覚提示を行うインクルーシブアクションゲーム: 触覚提示付きゲームコントローラ (TactCon)を導入したゲームの開発と利用時の評価" について、ヤマハ賞を受賞した。、
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