研究課題/領域番号 |
26280071
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
藤田 欣也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209051)
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研究分担者 |
田中 貴紘 名古屋大学, 未来社会創造機構, 講師 (80451988)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 割り込み / 予測 / 電子メール / 知的生産性 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,オフィス作業中のメールや電話による作業阻害の問題に対して,H26年度は,作業者が割り込みを許容できない程度(割り込み拒否度)の予測可能性を実験的に検討した.実験では,4人の被験者から取得した合計10ヶ月分の計算機の利用情報から,申請者らが開発した割り込み拒否度推定法を用いて1分ごとの割り込み拒否度を推定し,その持続時間と,使用アプリケーションやキーボード操作率等との関連性を分析した.その結果,使用アプリケーション種,キーとマウスの操作比,キー操作時間率,マウス操作時間率,アプリケーション切り替え頻度に,作業持続時間との統計的関連性が認められた.そこで,それぞれの指標を数種類/数段階に分割し,種類/段階ごとの平均持続時間を算出した.さらに,指標の積算による予測式を考案し,持続時間の予測可能性を検討した.その結果,考案した手法により持続時間の統計的傾向を再現できる可能性が示唆された. また,上記と並行して,計算機の利用状況から推定した割り込み拒否度に基づいて,電子メール着信通知を制御するProxyサーバを試作した.システムは,受信者の作業を阻害しないように,受信者の割り込み拒否度が低下するまでは,新着メール無しとサーバの応答を改変することで,着信通知タイミングを制御した.一方で,誤推定による配信遅れや過度な配信遅延が生じないように,時間経過と共に配信ルールを緩和するアルゴリズムを実装するとともに,周辺視野領域にアンビエントに着信を通知する機構を実装した.その結果,作業者のPC操作率が低いタイミングでの着信通知の可能性が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した実験を実施し,得られたデータを分析した結果,予測したように各指標の種類(アプリケーション種)や段階(キー操作率など)に応じた持続時間の相違が確認された.また,メール配信調停プロキシを試作し,その可能性を確認した. 現状では,予測精度の改善に向けた新たな予測指標の検討や,メール配信調停システムの動作速度やアルゴリズムの改善が必要であることから,上記の達成度とした.
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今後の研究の推進方策 |
作業持続時間の予測に関しては,引き続き予測に有効な指標を実験的に検討しつつ,数理モデルを改良し,より精度の高い予測方法を開発する. メール配信調停システムに関しては,動作速度や配信アルゴリズムを改善するとともに,長期的な使用実験を実施し,実環境における有効性を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初導入を予定していた顔認識ソフトウェアが供給停止となったため,代替方式の検討に時間を要したことが主たる原因である.指向性マイクに関しても,研究の進捗に伴って仕様再検討の必要が生じたため,27年度にずれこんだ.
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次年度使用額の使用計画 |
当初,導入を予定していたソフトウェアに代わる代替センサを導入する.指向性マイクに関しても,汎用品による代替可能性を検討した上で導入する.
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