オフィス作業中のメールや電話による作業阻害を回避し適切なタイミングで通知するシステムの実現を目標に,作業者が割り込みを許容できない状態の持続時間(高拒否度状態の持続時間)の計算機利用情報に基づく予測可能性を実験的に検討した.使用アプリケーション種,キーとマウスの操作時間比,PC操作検出時間率,アプリケーション切り替え頻度によって持続確率が変動する作業持続モデルを提案し,4名実験参加者の合計1500時間分のPC作業記録を対象に高拒否度持続時間の予測可能性を実験的に検討した.その結果,実際の平均割り込み非許容時間569秒に対して予測非許容時間は501秒となり,割り込み非許容時間の統計的なばらつきも再現されることが確認された. さらに,スマートフォンの利用や移動を検出することによる割り込み拒否度推定精度の改善可能性を実験的に検討した.その結果,移動時や自発的なスマートフォン利用時は割り込み拒否度が低下する可能性が確認された.そこで,割込拒否度の推定精度改善の可能性を検討したところ,PC操作情報のみに基づく推定に対して,移動時は23%から89%に,スマートフォン利用時は39%から61%に向上する可能性が示唆された. 上記に加えて,これまで開発してきた割込拒否度の遠隔共有システムの閲覧行動を,3名の実験参加者各10日分を対象に視線計測装置を用いて分析した.その結果,1時間に1回程度,おもに自らの作業の切れ目で閲覧することが明らかになった.また,自らの作業の振り返りへの利用が多いことや,関係の薄い相手も含む複数の相手を閲覧する場合が多いことなどが示唆された.
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