研究課題/領域番号 |
26280076
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 英之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70335206)
|
研究分担者 |
山下 直美 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (70396141)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | テレプレゼンス |
研究実績の概要 |
遠隔操作人型ロボットは,遠隔地にいる会話相手の身体動作を物理的実体の運動を通して提示するため,映像には真似の出来ない迫真性を創出することが可能で,擬似的な身体接触をも可能にする.一方で,カメラ映像を表示するディスプレイは,会話相手の今現在の実際の外見をリアルタイムで提示するという,ロボットには真似のできない情報伝達を可能にする.そこで本研究では,ロボットの物理的身体とディスプレイ上の映像的身体を融合することで双方を上回るメディアを開発した.ディスプレイとロボットを合体させたメディアの例としてはテレプレゼンスロボットがある.これはディスプレイを台車ロボットに乗せて移動可能にしたものであり,ディスプレイとロボットの融合における重要な第一歩であるが,本格的な融合からは程遠い.まず,ディスプレイの移動は身体全体の移動に対応しており,ジェスチャーなどで発生する身体動作は従来通り映像のみで表現するしかない.また,動作提示以外の重要なロボットの利用法である身体接触の再現が試みられていない.本研究では,より密に映像的身体と物理的身体を融合させる手法を開拓した.本研究では,身体動作の提示や身体接触の再現に不可欠となる最小限の身体部位のみをロボット化し(例:握手用ロボットハンド),それをディスプレイ上で映像として表現されている身体に接合するアプローチによって(例:肘から先の映像を消去し,その位置に駆動機構によってロボットハンドの付け根を移動させる),これら2種類のメディアの長所を併せ持つ新たなメディアを創造した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ディスプレイとロボットを組み合わせて一つの身体を表現しようとする際の直列的および重畳的接合法について検討するために,映像的身体と物理的身体の間の一貫性が保たれるようにディスプレイの側面,前面,背面それぞれへロボットを接合することの効果を明らかにした.それによって,朝日新聞朝刊(2015年6月11日大阪本社版),HRI2016(採択率25%),情報処理学会論文誌の論文3報(うち一本は推薦論文)などにおいて成果発表を行うとともに,第29回人工知能学会全国大会における全国大会優秀賞,情報処理学会インタラクション2016におけるインタラクティブ発表賞(一般投票)を受賞した.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに行ってきた遠隔握手に関する研究に基づいて多様な身体的インタラクションを遠隔地間で可能にするためのロボットの研究開発を行うとともに,それらを対話相手の実時間映像にシームレスに結合することによって高度なソーシャルテレプレゼンスや仮想的な身体転送を実現することのできるロボットエンハンスドディスプレイの研究開発を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに執行したが,一部安価で購入できた物品があり,少し残額が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
翌年度に,消耗品の購入に充てる予定である.
|