研究課題/領域番号 |
26280078
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
岩谷 幸雄 東北学院大学, 工学部, 教授 (10250896)
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研究分担者 |
大谷 真 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40433198)
本多 明生 山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (80433564)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 音空間知覚 / マルチモーダル感覚情報処理 / 聴覚ディスプレイ / アクティブリスニング / 音像定位 |
研究実績の概要 |
提案者は,これまで聴覚の音空間知覚をマルチモーダル感覚情報処理としてとらえ,頭部運動などの体性感覚も取り入れた「アクティブリスニングに関する研究」を基盤研究(B)で推進してきた.この中で,アクティブリスニング環境をシステムとして整えることで,自然性,臨場感が格段に向上することが示された.これは次世代の超臨場感通信やバーチャルリアリティシステムにとって重要な知見であると確信する.本提案では,この知覚過程の理解をさらに深めシステムに具体的に生かすべく,以下の二つについて検討を行う。 A) アクティブリスニング音空間知覚における音像定位過程の手がかりの解明とモデルの深化 B) アクティブリスニング音空間知覚の理解に基づいた音環境提示装置の試作と評価
H27年度は,開発済みのスケルトンシステムをiosに拡張した.また,1秒以上の長いインパルス応答を畳込み,3次元モデルをヘッドマウントディスプレイで視覚提示できるようにシステムを拡張した.システム遅延の評価も行い,畳込み時間が検知限以下で終了していることを確認した.また,アクティブリスニング音空間知覚過程の解明として,純音閾値の変化について調査した.その結果,音像定位時における,別の音の知覚が抑制されている可能性があることを発見した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム全体については,スケルトンシステムを拡張することで,性能を大幅に向上させ,さまざまなコンテンツが提示できるようになった.さらに,遅延の評価についても100ms程度の概ね目標通りの指標を得られている.
アクティブリスニング理解についても,音像定位時の他の音の知覚への抑制効果があるのではないかという件について,複数の周波数の実験を行い,実際に抑制されている効果が500Hz純音で顕著になることが示唆されており,重要な知見が得られたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
試作システムについては,信号処理を高速化するアルゴリズムを実装して,1.5秒程度のさらに長いインパルス応答を,遅延検知限以下で畳み込むことを実現する.これにより,臨場感,自然性などの向上を図ることが可能となる.さらに,頭部運動が音に反映されるまでの時間を測定し,システム遅延をさらに短くするアルゴリズムを考案する.
アクティブリスニングの理解についても,純音閾値のみならず,音の動きや,左右耳の信号差などがどのように影響するかについて精査し,アクティブリスニング時の音空間知覚過程としてそのモデルを深化させる.
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備考 |
本課題に関連して研究を推進した学生が以下の賞を受賞した.電子情報通信学会東北支部から優秀学生表彰,平成28年東北地区若手研究者発表会優秀発表彰.
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