研究課題/領域番号 |
26280085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 章博 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30230535)
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研究分担者 |
平田 耕一 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (20274558)
伊藤 公人 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (60396314)
久保山 哲二 学習院大学, 計算機センター, 教授 (80302660)
吉仲 亮 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80466424)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | データマイニング / 2項関係 / 形式概念解析 / 順序関係 / 木構造 / 整数計画法 / 行列因数分解 / 密度優先探索 |
研究実績の概要 |
研究目的に述べた課題(1)については,具体的な対象とするデータを選定し,そこから構成される閉集合の順序関係を考察することから開始した.データとしては,公共事業と入札企業の関係を表すデータを用いた.このデータには入札時刻という順序属性が考えられ,閉集合間の順序関係は入札履歴を可視化するために有効である.この着想について,当初は[基本原理]に忠実に実装していたが,課題(3)で述べたように閉集合間の順序関係には閉集合の枝刈りが必要であることから,閉集合の構成,順序化,枝刈りを同時に実装する手法について,行列の因数分解と探索による閉集合構成を利用することで考案し,国内会議(人工知能学会人工知能基本問題研究会)で発表した.結局,課題(3)を先に解決することとなった. 課題(2)については,木構造間の編集距離が成立するか否かを判定するための手順を整数計画法を用いて高速に計算する手法を提案した.入力となる2つの木を構成する接点と辺の間の関係を,整数変数とそれらを用いた不等式で表現して,整数計画法のソルバに入力可能な形に変換する.編集距離は木構造間の順序関係をもとに定義され,その順序関係のバリエーションを不等式のバリエーションで表現するため,この方法は木構造間の順序関係解析に応用可能と考えている.この成果は国際会議(International Conference on Discovery Science 2014)に採択され,発表した. なお,研究目的でのべた課題は次のとおりである.[基本原理]データのある属性の領域が順序空間であると仮定した上で,データ空間から構成された閉集合を順序空間の上に写像し,射影された閉集合間に全順序を定義した上で,不要な閉集合を除き,有用な閉集合の像を抽出する,に対して,課題(1)[基本原理]の理論基盤を,順序空間を領域とする属性が一つの場合を対象に考察する,課題(2)木構造データ間の順序関係の深化を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題(1)の成果については,たまたま[基本原理]が適用可能であることを期待したデータが入手できたために行ったが,具体的な成果は[基本原理]よりは結果志向のものである.[基本原理]をそのまま実現するための理論を構成するアプローチでも研究を進めている.データとしては,ソフトウェアのオープン開発におけるメーリングリストとした.メーリングリストのメールには,メールの発信時刻という順序属性が考えられ,閉集合間の順序関係はソフトウェア開発履歴を可視化するために有効である.この着想をそのまま実装することで,閉集合間の順序関係を可視化するツールを作成した.こちらのアプローチは,何を理論化すればよいかの目途は立ったが,理論の構成はまだ途中である. 課題(2)については,国際会議で発表可能な成果が得られたので,順調に進捗している.実際,次のステップの研究にも着手しており,さらに深化すると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
上述の研究成果に述べた課題(1)を考察するために考案した手法について,さらに理論の整備を行い,国際会議に投稿可能な形にまで引き上げる.一方,現在までの達成度に述べたように課題(1)には[基本原理]をそのまま実現する理論も必要であり,こちらの理論も展開したう上で,課題(3)に進むという当初の計画通りのアプローチについても研究を進める.課題(2)については順調に進めることができているため,課題(4)である実データに対する適用に進む.一方,木構造間の順序関係と編集距離についてさらに明確になるように整備する必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者と協力者による国際会議発表経費を複数回分計画していたが,1回の会議が国内開催になったため,旅費に残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
現在使用しているパーソナルコンピュータでは計算時間に時間を要するようになったため,高性能なものを購入する計画である.研究代表者と協力者による国際会議発表経費を複数回分計画している.さらに,研究協力者である博士課程学生が修了した場合に,非常勤研究員として雇用する.
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