研究課題/領域番号 |
26280089
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
平田 圭二 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (30396121)
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研究分担者 |
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90272989)
浜中 雅俊 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 講師 (30451686)
長尾 確 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70343209)
北原 鉄朗 日本大学, 文理学部, 准教授 (00454710)
松原 正樹 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), その他 (90714494)
吉井 和佳 京都大学, 情報学研究科, 講師 (20510001)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 木構造 / 時系列メディア / 音楽構造解析 / ディスカッションマイニング / タイムスパン木 / 生成文法 / 確率モデル / GTTM |
研究実績の概要 |
取り組むべき課題のそれぞれについて報告する.(a)時系列メディアに込められた意図を表現する木構造の表現法とそれらに対する演算体系の設計など理論的基盤の構築:楽曲の意味を表す木構造の操作法を代数の枠組に沿って精錬し,楽曲のモーフィングを行うアルゴリズムを提案し,その性質を定理として証明し,被験者実験を行い認知的リアリティを確認した.(b1)旋律概形を用いた作曲システムの実現:旋律概形を多重解像度解析(離散ウェーブレット変換を再帰的に繰り返す方法) に基づいて再定義することを試み,旋律概形を簡約する概念を内包する二分木を提案した.(b2) ポリフォニの声部数を縮約する編曲システムの実現:GTTMタイムスパン木生成において曖昧であった音高と和声を考慮した選好ルールを拡張し,ピッチを考慮したタイムスパン木 (pitch sensitive time-span tree, 以降pTS木) を提案した.まずpTS木において音高間の距離を計算するために,GTTMの後継である音楽理論Tonal Pitch Spaceにおけるピッチクラス階層性の枠組みを用い,次に和音間の距離を計算するためにTS木におけるローカルキーの概念を用いた.(b3)音楽分析器の機能拡張:楽曲分析のデータベースを充実させた.具体的には300楽曲のデータを揃えた.(c1)Q&A 議事録システムの実現:ディスカッションマイニングによって得られた会議録から自動的に議論タイムスパン木を分析・生成するアルゴリズムを構築し,グループ構造認識に関する正解率0.72,重要発言同定に関する正解率0.61を達成した.(c2)映像・物語の要約器の実現:GTTMの考え方に沿って映画の構造化のためのルール設計・提案を行い,実際に映画のタイムスパン木の獲得を試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的には,ほぼ計画通りに進捗している.以下,取り組むべき課題のそれぞれについて報告する.(a)モーフィングのアルゴリズム提案に加え,計算論的音楽理論の予備提案まで進むことができ,計画以上の進捗であった.(b1)システムを構築し予備実験まで行い,ほぼ計画通りである.(b2)TPS理論に基づくピッチ間距離に関する提案を行い,ほぼ計画通りである.(b3)ポリフォニへの機能拡張は,ポリフォニの定義や 考え方を巡る困難により,計画より遅れ気味であるが,後の実験のために楽曲分析データベースの整備拡張を行った.(c1)議論タイムスパン木の自動抽出器第1版を構築でき,ほぼ計画通りである.(c2)映画の構造化のためのルール設計・提案を達成し,ほぼ計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
全体的にほぼ計画通りに進捗しているので,当初の申請内容に従って研究を推進する.特に,理論班(a),音楽応用班(b1)(b2)(b3),他メディア展開班(c1)(c2)の間の連携を密に保ち,シナジー効果をあげることを意識する.
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍購入に充てる計画であったが,絶版のため購入を諦めたことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
中古書籍で購入する予定である.
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