研究課題
本研究では、外乱に対して耐性があり、機能が持続的であるような、レジリエントなシステムを定式化し、そのうえでの推論問題を考え、システム設計に役立てることを目指している。当初の研究計画に従い、 (A) レジリエントなシステムのモデル化、(B) システムのレジリエンス性に関する推論、(C) レジリエントなシステムの設計と応用、の3つの研究サブテーマについて研究を進めた。(A) レジリエンスを定性的・定量的に議論するために、一般的なダイナミック制約モデルを拡張し、外的事象も取り入れた現実的なレジリエンス・シナリオにおける適用可能性について議論した。(B) レジリエントなシステムを動的な多目的制約最適化問題のフレームワーク用いて定式化し、ロバストなシステムの設計について考察した。新たな応用例として、複数の評価基準を考慮した時間割作成問題の定式化、及びこの問題を解くアルゴリズムを開発した。従来の時間割作成問題では制約違反数の最小化を目的としていたが、本研究では制約違反数の最小化に加え、得られた解のバランスを考慮した解を求解している。(C) レジリエントなシステムの応用例として、動的環境におけるスケジューリング問題、ロボットレスキュー問題におけるロバストなチーム編成、ソーシャルネットワークにおける合意形成、概日リズムなど生体システムにおけるレジリエンス、ソーシャルネットワークにおける信念翻意のロバスト性について引き続き検討した。また、チーム編成に関する基礎研究で得られた知識を災害研究へと応用し、災害派遣医療チーム編成問題を定式化し、この問題を解くDMAT編成ツールを開発した。さらに、エージェント通信におけるオピニオン伝播問題を定式化した信念翻意ゲーム(Belief Revision Games;BRG)において、エージェント全体の合意形成が可能な場合に関する解析を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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