研究課題/領域番号 |
26280115
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
波多野 賢治 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80314532)
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研究分担者 |
宮崎 純 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (40293394)
中村 匡秀 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (30324859)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サービス指向アーキテクチャ / 社会サービス |
研究実績の概要 |
本研究では,近年特に注目が集まっているビッグデータを利活用するためのデータアクセス基盤サービスの開発を行っている.これは,ビッグデータを利活用する際に生じる問題点を,1) ビッグデータに対する効率的なアクセスを実現するためのデータストアサービス,2) 用途に応じたデータビュー導出サービス,3) ビッグデータの利活用を容易にするサービス指向データアクセス API の開発,の三種類のサービスで解決するためである. 三種類のサービスにおける本年度の研究実績は以下の通りである. 1) 昨年度開発したビッグデータ格納用データストアを用いて,より効率的な問合せ処理を実現するため,入力されるクエリの種類をルール化し,そのルールに基づいたデータストア選択方式を提案した.この提案により,従来のルールを用いない手法に比べ問合せ処理速度が 30% 程度短縮されたことが明らかになった. 2) 用途に応じたデータビュー構築のために,データへのアクセス時の処理量を削減する方式として,データストアに KVS,そのメタデータ管理に RDB を利用する方式を提案した.この提案により,従来方式に比べ最大 95% 程度スループットが向上したことが判明した. 3) アプリケーションの要求に応じてデータ提供するために,昨年度に引き続き Materialized View as a Service (MVaaS) を開発した.具体的には,スマートホームのコンテキストアウェアサービス管理基盤,屋内位置情報統合サービス,スマートシティの自律的な環境センシングを行うセンサボックス,2) のデータストアとの疎結合のための API の開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように,今年度の研究は三つのテーマを中心に行った.データストアに対する問合せ処理の最適化法,RDB や KVS を用いたデータビューの生成法,そしてデータビューにアクセスするための API 作成とその API を利用する各種サービスの開発においてある程度順調に研究が進んでおり,雑誌論文や国際会議において本研究による研究成果発表が増えてきた点は評価できる.また,昨年度の不安材料の一つであった各テーマ間での連携が 2) と 3) 間で行われ始めた点は大きな一歩であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究実績や現在までの進捗状況で述べたように,本研究はおおむね順調に研究が進んでいると言えるが課題がないわけではない.
本研究で最終的に提案する成果物は,データアクセス基盤サービスを構築することであるとしているようにサービス自体を一本化しなければならない.幸い,本年度から 2),3) の研究テーマで連携が始まったが,1) と 2) の連携は未だ始まっていない.したがって,今後の推進方策の最初にこの連携を強化していく必要がある.また,最終年度はスマートシティサービスを本データアクセス基盤サービスで運用することになっている.開発したデータアクセス基盤サービスを性能やユーザビリティ,開発容易性等の観点から評価するだけではなく,本サービスを一般に公開し,第三者ユーザの利用・評価結果を検証するために本研究グループ全体が一丸となって研究を推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,ハイパフォーマンスコンピューティングの環境をクラウド上に実装しているため,毎月その使用量に応じて支払いが続いている.データ量,CPU 使用時間等によりその金額は変動するため,今年度は使用料金の見積もりと実際の使用金額に差が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も同様にクラウド環境上の計算機リソースは使用する予定である.今後,ますます扱うデータ量や CPU 使用時間が増えると予想されるため,次年度使用額はその使用料として利用する予定である.
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