研究課題/領域番号 |
26280124
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
清原 聖子 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70372422)
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研究分担者 |
前嶋 和弘 上智大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10350729)
小林 哲郎 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60455194)
李 洪千 慶應義塾大学, 総合政策学部, 講師 (80621200)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 選挙運動 / インターネット / ソーシャルメディア / 政治コミュニケーション / 国際研究者交流(台湾) |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、急速にソーシャルメディアが普及している今日の情報社会において、選挙運動にインターネットが利用されることによって政治社会がどのように変容していくのか、という問題を日米韓台の4か国比較の観点から検討することである。これまで共同研究のチームとして日米韓については研究蓄積があるが、台湾については新たに海外研究協力者に陳柏宇(国立中山大学・台湾)博士を加え4か国比較へと発展させていく計画である。 初年度は研究グループ内で台湾の政治システム及びネット選挙運動の現状について知識を共有することに重点を置き、4か国比較の枠組みを検討した。第一に、2014年7月の第1回研究会(明治大学)に陳を招聘。陳は台湾におけるネット選挙運動の概要を報告。その後研究代表者の清原聖子と陳は、2015年1月のニューオーリンズで行われたSouthern Political Science Associationにおいて、共著論文として日台におけるネット選挙運動を支える政党、公職選挙法等に関する制度的、文脈的要因から行った比較分析論文を発表した。 第二に、本研究では4か国それぞれにおけるネット選挙運動の通時的分析を進め蓄積していくことを目的の一つとしている。それに関しては、初年度は清原が2014年アメリカ中間選挙の調査を行い、2014年11月に政治コミュニケーション研究会で報告。2015年2月の情報通信学会情報社会システム研究会と共催による研究成果報告会においては、研究分担者の李洪千が2014年韓国の統一地方選挙とスマホ・アプリに関する事例報告を、小林哲郎が2013年参院選データを基にネット選挙運動の効果についての報告を行い、研究分担者の前嶋和弘および研究協力者の清水憲人が討論者を務めた。外部の研究者からの質問もあり、有意義なディスカッションが行われ、初年度の研究成果報告の場として良い研究会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、共同研究として初年度は計画通り、台湾から海外研究協力者を迎えたことにより、台湾のネット選挙運動についての現状を研究グループとして共有することができた。そして、台湾と日米韓とのネット選挙運動の実態、発展過程の差異と共通性について理解を深めることにつながった。また、各国のネット選挙運動の最新事例に関する分析も役割分担ごとに進められている。さらに計画ではパネル形式で海外学会発表を掲げていたところ、共著論文として発表する形になったが、一つの目標としていた海外での共同研究発表を実現したことは大きな成果であった。最後に、初年度研究成果報告会を外部の研究者が参加する形で実施できたことは、研究達成度を外部に公開する良い機会となった。次年度の研究の推進方策についても研究チーム内で十分な議論ができており、新たな海外研究協力者を加えること、海外出版に向けた準備を始めることについて、共通認識を得ている。こうした点からみて、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画では最終的に英語による海外出版を目指している。そこで今後海外出版計画をよりスムーズに推進していくために、検討した結果、2015年度から新たな海外研究協力者としてアメリカの選挙とメディア研究分野で優れた業績の多いDiana Owen(米国・ジョージタウン大学)博士に加わってもらうこととした。現在研究代表者はジョージタウン大学で在外研究中であり、その間に同博士との間で良い人脈が形成されていることから、本研究の推進に同博士の協力が得られやすい状況である。また、2年目には計画通り研究協力者の清水が台湾にICT市場の調査に行く予定があり、2015年6月には日本比較政治学会において、清原、および研究分担者の李、海外研究協力者の陳が報告を行い、研究分担者の前嶋が司会・討論者を行うことが決まっている。全体ミーティングとして第2回研究会も明治大学において開催することも決まっている。
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