研究課題/領域番号 |
26280130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 大作 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80345272)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工知能 / アルゴリズム / ゲーム情報学 |
研究実績の概要 |
現実世界の大規模な探索問題は全解探索は困難であり、有用そうな部分を選択的に探索するアルゴリズムが用いられる。ゲーム木の探索はこのような問題の一例であり、近年提案されたモンテカルロ木探索がその有効性から広まっているが、将棋など「細い正解の一本道をたどらねばならない」ような問題領域においては収束が遅く、適用が難しい。我々は、局面評価値の確率分布をゲーム木でそのまま扱えるベイジアンアプローチに基づいた探索アルゴリズムを提案し、将棋での有効性を確認しつつあるが、並列計算手法が未検討であり、大規模問題を解く上での障害となっている。本年度は、前年度に行ったアルゴリズム設計及び試験実装の成果をもとに、性能向上を目指した設計検討を行い、それを考慮した実装方式を検討し、実装を行った。 また、問題の一般化をはかり、実応用の可能性をより広範囲に調査するために、合法手の多い戦略ゲームや多人数ゲームにおいてのゲームプレイヤ構築手法についても研究を行い、それぞれの成果を研究会において論文発表した。これらのゲームにおける知見は現在のところそのままでは提案する探索アルゴリズムに適用することはできないが、我々の提案手法が持つ限界を検証するという意味で有効に利用できると考えている。また、他のゲームでの機械学習手法検討で得られた知見を将棋にフィードバックすることで、我々の持つ応用アプリケーションの実用性がより向上することも期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度の計画目標は、前年度に行ったアルゴリズム設計及び試験実装の成果をもとに、性能向上を目指した設計検討を行い、性能面を考慮した実装を行うことであった。これらの目標を順調に達成することができ、計画通りに進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は計画に従っておおむね順調に進展しているため、今後も計画に従って研究を進めていく。具体的には、28年度には、27年度までの成果をもとに大規模な実験環境での実験を行い、実用性の評価を行うとともに、性能の改善を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に関する調査のために参加を予定していた国際学会について、研究の進展を考慮すると今年度は論文調査にとどめ、国内研究会への参加を行ったほうが予算をより有効に活用できると判断されたため、参加を見送ったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度予定している大規模実験を効率よく実施するためには、導入予定の計算サーバの性能を向上させる必要があると考えられるため、その予算とする。
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