研究課題/領域番号 |
26280131
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10103615)
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研究分担者 |
板井 志郎 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00398934)
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共創システム / 身体表現 / 影メディア / 身体性 / 集団コミュニケーション / 場 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,遠隔地の二つの演者集団による即興的かつ持続的な表現の共創を支援するため,「舞台(場)の統合を促す」身体性メディアと「舞台(場)を盛り上げる」身体性メディアを統合した身体性メディアシステムについて研究を行った.具体的には,昨年度開発したポイントクラウド影メディアと仮想光源ロボットを用いて遠隔地間での通信実験を行い,これらが舞台(場)を活性化し表現の集団的創出を促すことに有効であることを示した.さらに,円筒状紐スクリーンへの影メディアや背景メディアの投影が可能なシステムを新たに開発し,円筒状スクリーンの内と外の演者(観客)が相互に乗り入れて,表現を創りあうことをはじめて実現した.加えて,これを用い舞台(場)の内と外の交流を促し,場を盛り上げる身体性メディアの新たな設計手法を検討した.また,影メディアを用い,身体表現の現場をアーカイブする手法についても研究した.具体的には,身体表現の現場の映像と深度情報の記録から現場を影メディアで再現し,再現時に影メディアの種類や光源位置を変更可能なシステムを開発した. また,集団活動の現場での影メディアの活用を目指し,発達障碍児の間に動きやつながりを生み出すことを目指した共創表現プログラムを開発した.具体的には,東日本大震災の被災地にある宮城県立石巻支援学校の体育館に14×4[m]のスクリーンを設置し,児童生徒約70名を対象に,本システムを用いた身体表現授業を3回に分けて実施した.その際,身体像取得のためのKinect V2(Microsoft社),メディア処理のためのPC及びメディア投影のためのプロジェクタからなるシステムを1ユニットとし,これを4つ並列に稼働させることで広範囲へのメディア呈示を可能とした.その結果,影メディアで出会い,影メディアでつながる,生き生きとした表現空間が自ずと生まれることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記載した内容について,期待通りの成果が得られているため.とくに,影メディアを活用した集団による身体表現の授業を宮城県立石巻支援学校で実施することによって,影メディアシステムの社会的有用性が示されたこと,さらには,円筒状紐スクリーンの開発と新しい投影手法や背景メディアなどにより,舞台(メディア空間)が外に開かれ,内と外との交流を可能にしたことは,当初の計画を超える成果であり,影メディアの新たな可能性を拓くことが期待できるため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの成果をまとめ,学会にて発表する.また,学校,美術館などの公共施設において体験展示デモを行い,開発した影メディアシステムの社会的な意義や活用方法,有用性などについて検討していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
得られた研究成果を学会発表する計画があること,加えて,影メディアシステムを用いた公開デモを行う計画があるため.
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次年度使用額の使用計画 |
公開での体験展示デモ(府中市美術館を予定)を行うためのシステムの運搬・移送費や運用・会場費が必要になる.また,システムの改良,メンテナンスを行うための構造部材や電子部品,PC周辺機器の購入が必要になる.加えて,本研究の成果を国内学会で発表するための参加費と出張旅費が必要になる.
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