研究課題
本研究は、北極海の揮発性有機化合物(VOC)及び海洋炭酸系の動態把握と、その変動要因を解明することを目的としている。着目するVOCは生物活動により生成し、大気オゾンの動態やエアロゾルの生成などを通じて気候変化に関与する物質である。北極海は夏季の海氷融解が進行し、海洋生物相の変化や基礎生産の増加が議論されており、これらがVOCの組成と量に影響を及ぼすと考えられている。炭素循環の観点からは、海氷生成の減少と基礎生産の増加は北極海の二酸化炭素吸収量の増加を期待させるが、一方で海洋酸性化促進の側面も有する。平成28年度は、海洋地球研究船「みらい」(研究開発機構)のMR16-06航海(8月22日陸奥関根浜~10月6日ノーム)に乗船し、北極海での海洋VOC(ジメチルスルフィド(DMS)、イソプレン、モノテルペンなど)の分析、大気および表面海水の二酸化炭素分圧、メタン分圧の連続測定を実施した。海洋観測では19観測点においてCTDによる海水試料を約130試料採取した。海水試料に関しては、メタン分析の一部は2017年度にずれ込んでいる。メタン濃度と炭素安定同位体測定に加え、亜酸化窒素の濃度及び窒素酸素安定同位体比測定も実施しているためである(上記目的達成に有用と判断した)。DMS及びその関連物質の観測に関しては、DMSの前駆体であるジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)を酸添加により固定した後、実験室に持ち帰った。また、昨年度より検討していた外国研究船(韓国アラオン号)での北極海観測が実現し、DMSP分析用海水試料を持ち帰った。上記海洋VOCについては、予定していた分析法の検討及び分析は全て終了した。北極海の大気海洋間CO2交換及びCH4交換では2報の論文を投稿中である。VOCに関しては分布の支配要因と水温上昇の影響に着目した解析を進め、研究発表後に論文投稿する予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
http://geos.ees.hokudai.ac.jp/kameyama/
http://www.mri-jma.go.jp/Dep/oc/oc_3.html