研究課題/領域番号 |
26281005
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 史尚 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (60293370)
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研究分担者 |
柿川 真紀子 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (10359713)
牧 輝弥 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (70345601)
松木 篤 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90505728)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 風送バイオエアロゾル / 大気環境学 / 微生物 |
研究実績の概要 |
1.研究打ち合わせ 研究者それぞれの役割分担や計画について研究打ち合わせを行った。参加研究者のほとんどが金沢大学所属であり、黄砂バイオエアロゾル研究グループであるので、すぐにでも行うことができた。 2.風送バイオエアロゾル監視用ハイボリュームサンプラー開発 代表者の小林は、生物化学工学を主たる研究分野としている。エアロゾルの捕集は化学工学の紛体工学の分野でもあるため、バイオエアロゾル用ハイボリュームサンプラーの開発に取り組んだ。一般的なSPM用ハイボリュームサンプラーではメンブレンフィルターが大きすぎてDNA分析には不向きであった。試験管に入るような大きさのメンブレンフィルターを装着でき、ハイボリューム吸引ポンプのサンプラーシステムを開発した。また、メンブレンフィルターの素材についても検討した。SPMなどは重量の測定のため不織布が多かったが、DNA測定には難しい。DNA抽出の際には壊れやすく、DNAが吸着しないように帯電しにくく、雨風に強いメンブレンフィルターの開発を行った。 3.バイオエアロゾルDNA濃度測定法の簡易・迅速・精緻化 バイオ関連技術習得者でない気象台研究員でも可能なDNA抽出法と測定法の開発を行った。DNA濃度測定には、これまで分光法がほとんどであったが、検出限界が高く、実際の風送バイオエアロゾルには適応が困難であった。そこで自家蛍光を計測できるDNA濃度測定器を用いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した3項目はほぼ達成できたが下記の2項目については少し達成できていない。平成27年度に引き続き検討し、実施する予定である。 4.バイオエアロゾルに関する大気の毒性検出 風送バイオエアロゾルに含まれる毒性遺伝子検出は現有のリアルタイムPCRを用いて、生物情報学が専門の分担者、柿川が検討する。ウィルスに関してはタカラバイオが製造しているCycleavePCR呼吸器系感染症起因ウィルス検出キット、細菌性呼吸器疾患に関してはタカラバイオ製CycleavePCR呼吸器系感染症起因菌検出キット、あるいはO-157検出キットやセレウス毒性遺伝子検出キットを用いて1.で開発した風送バイオエアロゾルメンブレンフィルターから抽出されたDNAライブラリーをテンプレートとして実施・検討する。 5.大気エアロゾル自動観測(OPC)に関与したエアロゾル組成観測 気象観測項目の中に、OPCによるエアロゾル観測を経時的に実施している。定量的なエアロゾル濃度測定の他にも定性的なエアロゾル化学組成を実施し、特に有機物質に関するデータを観測する。平成27年度の風送バイオエアロゾル監視システム試行の際のDNAデータとの相関を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度に記した4.バイオエアロゾルに関する大気の毒性検出および5.大気エアロゾル自動観測(OPC)に関与したエアロゾル組成観測に加えて以下のことを実施する。 6.1年間にわたる風送バイオエアロゾル監視・観測実施 研究代表者の小林研究室学生を中心に、平成27年4月1日から平成28年3月31日にわたる1年間、実際に風送バイオエアロゾルを毎日独自に開発したバイオエアロゾル用ハイボリュームサンプラーを用いて採取し、それぞれ平成26年度に開発した風送バイオエアロゾルに関するDNA濃度測定・毒性検出・エアロゾル化学組成観測を実施する。DNA濃度測定は毎日実施し、経日データとして算出する。毒性検出に関しては検出限界として高いDNAテンプレート濃度が必要であるため1週毎の観測データとする。エアロゾル化学組成データは毎日観測し、経日データとする。監視・観測場所は主に小林研究室のベランダ(石川県金沢市角間町:金沢大学自然研1号館Cブロック4階)とする。金沢大学からベランダの使用許可は既に得ており、問題はない。分担者の牧研究室は、学科は違うものの小林研究室の同じ建物の上であるCブロック5階にあり、監視・観測の継続的実施に支障が出た場合、そのまま5階に監視・観測場所を移動する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの達成度に記した、達成度が不十分であった4.バイオエアロゾルに関する大気の毒性検出と5.大気エアロゾル自動観測(OPC)に関与したエアロゾル組成観測の達成されなかった経費である。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度達成が不十分だった4.バイオエアロゾルに関する大気の毒性検出と5.大気エアロゾル自動観測(OPC)に関与したエアロゾル組成観測の消耗品に充足する。
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