研究課題
最近PM2.5をはじめ大気汚染物質の広域監視システムが注目されている。大気に含まれる生物粒子(風送バイオエアロゾル)の中に、強い感染力はないものの日和見感染症原因菌などが存在しており、風送バイオエアロゾルによる健康影響が危惧されつつある。そこで、これまで申請者らが培った黄砂バイオエアロゾルに関する研究した経験から、大気環境監視項目としての風送バイオエアロゾルを提案する。風送バイオエアロゾルに関するサンプラー、最近の遺伝子工学を駆使した大気DNA分析手法、大気の毒性を検討し、気象情報としてのバイオエアロゾル濃度経日計測を試みた。金沢大学自然科学1号館4階ベランダにおいて、2015年4月から8月、10月、12月、および2016年1月に、バイオエアロゾルサンプリングとOPCを用いた浮遊微粒子観測を実施した。バイオエアロゾルに関しては、濁度による菌体濃度測定とATP濃度による菌活性測定を行い、これらの方法で大気中の生理活性を持った大気バイオエアロゾル濃度を推定できることがわかった。浮遊微粒子径分布や気温、湿度、風速、風向との相関係数を算出した結果、バイオエアロゾル濁度と0.3 μm~0.5 μm浮遊微粒子濃度には弱い正の相関が、湿度とは弱い負の相関がみられた。バイオエアロゾルATP濃度と濁度とは弱い正の相関がみられた。MiSeqを用いた次世代シークエンスの結果、大気バイオエアロゾルは、各種proteobacteria網、Actinobacteria網、Bacilli網が支配的であった。台風や前線の通過による影響で風向が変わると種組成やATP濃度にも変化がみられた。種組成解析の結果によりActinobacteria網の存在比とバイオエアロゾルから検出されるATP濃度との間に関係がみられた。以上のことから、気象情報としてのバイオエアロゾル濃度経日計測法の確立に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
新聞報道:2016年8月28日朝日新聞朝刊33面(青森面)「ひときらり 黄砂研究地域に還元 小林史尚さん」
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