研究課題/領域番号 |
26281007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
持田 陸宏 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10333642)
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研究分担者 |
中山 智喜 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (40377784)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
青木 一真 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (90345546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有機エアロゾル / 吸湿性 / 光学特性 / 森林 / 大気 |
研究実績の概要 |
本研究では、大気観測に基づいて森林域で生成する生物起源二次有機エアロゾルの吸湿性および光学特性を解明することを目指している。本年度は7月から9月にかけて、京都大学フィールド科学教育研究センターの和歌山研究林において、大気エアロゾルの観測を実施した。この観測では、高分解能飛行時間型エアロゾル質量分析計による化学成分の濃度とその粒径分布の測定、走査式モビリティーパーティクルサイザーによるエアロゾル個数粒径分布の測定、雲凝結核カウンタおよび凝縮粒子カウンタ、電気移動度分析器で構成される装置システムによる粒径別の雲凝結核の個数割合の測定を行った。また、光音響分光法による波長375, 405, 532, 781 nmにおける光吸収および光散乱係数の測定、熱分離光学補正法による元素状および有機性炭素重量濃度、加熱インレットとフィルター光吸収法の組み合わせによるBCの重量濃度の測定を行った。さらに、太陽直達光と周辺光の放射輝度を測定できるスカイラジオメーターを用いた観測を行った。これらの測定のほか、7月から8月にかけての期間に1日ごとに採取されたPM0.95 フィルター試料を利用し、GC-MSを用いて植生起源SOAトレーサの定量も行った。GC-MSで測定したトレーサ化合物はα-ピネンから生成するピン酸・ピノン酸・3-メチル-1,2,3-ブタントリカルボン酸等、イソプレンから生成する2-メチルテトロール等であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していた大気エアロゾル測定に加え、次年度に予定していた森林域における光学特性のオンライン測定を前倒しで実施し、また予定に含まれていなかった森林域における雲凝結核のオンライン測定(粒子の雲凝結核としての能力はその吸湿性が密接に関係)を実施した。一方、フィルター試料からエアロゾル成分を抽出しその吸湿性を調べる実験等は、次年度以降へ持ち越された。これらの状況を総合的に考慮すると、プロジェクト全体の進捗度としては、おおむね計画通りに進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
新たに測定対象とした項目も含めて平成26年度の大気観測で得たデータの解析を進め、早期の成果発表を目指す。また、次年度に繰り越しとなった測定を進め、計画している研究の支障とならないように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究代表者や共同研究者との研究打ち合わせの旅費として予定していたが、さらに解析を進めた方が効率的な研究打ち合わせが出来ると判断し、未使用額が生じた。(富山大学への分担金)
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由のため、平成27年度に研究打ち合わせの旅費経費に充てることとしたい。
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