研究課題/領域番号 |
26281007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
持田 陸宏 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10333642)
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研究分担者 |
中山 智喜 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (40377784)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
青木 一真 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (90345546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 有機エアロゾル / 吸湿性 / 光学特性 / 森林 / 大気 |
研究実績の概要 |
8月から9月にかけて、前年度に実施した大気観測と同じ地点(京都大学フィールド科学教育研究センターの和歌山研究林)において、森林大気エアロゾルの観測を実施した。この観測では、高分解能飛行時間型エアロゾル質量分析計によるエアロゾル化学成分の濃度とその粒径分布の測定、走査式モビリティパーティクルサイザによる個数粒径分布の測定、吸湿タンデム微分型電気移動度分析器による粒子の吸湿成長度の測定、キャビティリングダウン分光装置を用いた消散係数の測定などを行った。また、スカイラジオメータを用いて、太陽光と周辺光の輝度の連続測定を行った。加えて、8月および9月のそれぞれ一部の期間において、ハイボリュームエアサンプラを用いた大気エアロゾルの採取も行った。さらに、前年度の夏季に同地点で実施した大気エアロゾルの化学成分のオンライン測定と、雲凝結核の粒径別の粒子個数割合の測定で得られたデータに基づき、雲凝結核数濃度に対する有機物の寄与に関する結果を得た。また、前年度の観測に基づき、エアロゾルの光吸収について解析を進めたほか、イソプレン酸化生成物およびαピネン高次酸化生成物と水溶性有機態炭素との相関関係を調べた。ほかにも、当年度の観測に基づき、観測地点上空のエアロゾルの光学的特性と体積粒径分布の時系列変化について解析した。6月には、前年度に和歌山研究林において実施した大気観測について、関連するプロジェクトと合わせてデータ検討会を開いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に当年度も和歌山の森林サイトにおいて大気エアロゾル測定を実施し、観測データを取得することができた。また、当年度は初秋の観測期間を長くし、次年度に予定していた人為起源の流入の影響を調べる要素を前倒しで観測に取り入れた(当目的に対するデータの有用性については今後の確認を要する)。さらに、エアロゾル成分の吸湿性・光学特性をオフラインで調べるための試料を、夏季および初秋に採取することもできた。一方、それらの試料からエアロゾル成分を抽出してその特性を測定する実験は、次年度に持ち越しとした。これらの総合的な状況から、本プロジェクトは、概ね計画通りに進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまで持ち越しとなっている、大気エアロゾル成分をフィルタ試料から抽出してその特性を測定する実験を進める。また、これまでに取得した大気測定データの解析を引き続き進め、最終年度である次年度には、複数のデータに基づく総合的な解析・考察に力を入れる。
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