研究課題
紀伊半島の森林域(京都大学フィールド科学教育研究センター・和歌山研究林)において2014年の夏季に取得した大気中の雲凝結核の観測データの解析を進めた。生物起源二次有機物エアロゾルの生成が雲凝結核の濃度に及ぼす影響を評価するために、日中の有機エアロゾル生成の影響を受けていると考えられる時間帯のその質量濃度の増加分を見積もった上、その増加分と雲凝結核の数濃度の増加分との関係や、雲凝結核数濃度の増加分のうち有機物の寄与によると見積もられる数濃度との関係を、4つの水蒸気化飽和度の条件ごとに調べた。このとき、解析は新粒子生成の特徴が表れていると判定される日と、それ以外の日のそれぞれに対して行った。また、二次有機エアロゾル成分の粒子への凝縮による雲凝結核数増加の水蒸気飽和度に対する依存性を解釈するため、コンデンセーションシンクと呼ばれる粒子への凝縮に関する指標と、エアロゾル粒子の体積のそれぞれの粒径分布(規格化したもの)を確認した。さらに、2014年の夏季に和歌山研究林において採取した大気エアロゾル試料と、別のプロジェクトで都市域(名古屋大学東山キャンパス)において春季および夏季に採取していたエアロゾル試料から、水溶性成分および非水溶性成分を抽出した上、再度粒子化してその光学特性を測定した。この光学特性に関する実験では、水溶性有機成分に比べて非水溶性有機成分の方が大きな光吸収性を有し、また、森林域に比べて都市域に存在するエアロゾル粒子の光吸収性が大きいことが分かった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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