長期的な地球環境変動に伴う陸域生態系の応答をシミュレートするためのモデル改変とデータ整備を実施した。既存モデルは計算期間が200年に限られていたが、本年度は計算期間を任意に延長できるようモデル構造の改変を行った。平行して産業革命前からの長期的な気候データと土地利用データの整備を行った。最初に産業革命前の定常的な大気CO2濃度と気候条件を入力し、陸域生態系モデルの計算結果に人工的なドリフトが生じないことを確認した。その後、産業革命後の大気CO2濃度、気候、土地利用を入力し、グローバルな陸域生態系の生産力や炭素ストックに生じる変化を長期推定した。続けて、IPCC第5次報告書で使用されている気候モデルの出力を用いて西暦2300年までの予測シミュレーションを実施した。そこでは緩和による気候安定化を目指したシナリオを用いたため、生産力は一度増加した後に低下し、現在よりやや高いレベルで安定化する結果が得られた。これらの実験の一部については、国際モデル相互比較への参加の一環として行われ、異なる気候条件や土地利用条件に対する応答を解析する目的で行われた。また、最終氷期以降の古気候シミュレーションデータと土地利用データについてもデータを収集して解析を行った。これらのシナリオを用いて、陸域生態系の炭素収支や温室効果ガス交換をグローバルに推定するためのモデル高度化を進めた。長期応答に強い影響を与える土壌炭素については、土壌パラメータのデータセット整備も実施した。
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