研究課題
北極振動は、北極付近を中心に極域から日本を含む中高緯度域の気候系を支配する重要な変動モードである。本研究では、太陽放射強度変動が中高緯度域に与える影響とそのメカニズムを北極振動という観点から明らかにする。その目的のため、平成29年度は下記の項目について研究を行った。1、衛星観測の利用できる1979‐2017の期間に対し、観測データを用いて太陽活動の北大西洋域への影響について回帰解析を使って調べた。その結果、北半球冬季の太陽活動の高い時期ほど成層圏界面付近では低緯度ほど高温となり、南北の温度勾配に伴う温度風の関係から上部成層圏に東西風偏差が生まれる。それが極夜ジェット振動の季節進行に伴って下降し2月ごろに地表面で北大西洋振動(NAO)的な信号を作ることが分かった。2、イギリスのイーストアングリア大学が作成した歴史的NAOデータとベルギー王立天文台作成の太陽黒点数データを用いて過去194年にわたる太陽活動とNAOの関係を調べた。3、気象研で開発した地球システムモデルの過去再現実験を行った結果を用いて太陽活動の11年周期変動の影響の解析を行った。この実験の解析からは、最近の観測の結果とよく似た北大西洋域でのNAOの変動が現れた。さらに長期で見ると歴史的観測データの結果とよく似た太陽活動とNAOの関係性やその50年スケールでの揺らぎが現れることが分かった。4、太陽11年周期などの紫外線変動の直接的な影響が大きい熱帯中間圏・上部成層圏の循環の改良を図るため10hPaより上層の鉛直分解能を細かくしてその影響を調べたところ、熱帯半年振動(SAO)へのインパクトが非常に大きいことが分かった。また、力学場の改善は化学場にも影響し、オゾンのSAOも改善されることが分かった。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 11件) 図書 (1件)
J. Geophy. Res.
巻: 123 ページ: 1959-1969
10.1002/2017JD027091
Geosci. Model Dev.
巻: 11 ページ: 1009-1032
10.5194/gmd-2017-187
J. Meteor. Soc. Japan,
巻: 95 ページ: 171-180
10.2151/jmsj.2017-009
J. Atmos. Sci.
巻: 74 ページ: 3533-3550
10.1175/JAS-D-16-0330.1
SOLA
巻: 13 ページ: 140-145
10.2151/sola.2017-026
J. Climate
巻: 30 ページ: 6977-6997
10.1175/JCLI-D-16-0464.1
Atmos. Chem. Phys.
巻: 17 ページ: 8031-8044
10.5194/acp-17-8031-2017
巻: 10 ページ: 4035-4055
10.5194/gmd-10-4035-2017