研究課題/領域番号 |
26281018
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
金谷 有剛 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 分野長代理 (60344305)
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研究分担者 |
宮川 拓真 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 研究員 (30707568)
竹谷 文一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球表層物質循環研究分野, 主任研究員 (50377785)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大気現象 / 生物起源有機エアロゾル / PM2.5 / 蛍光法 / DNA |
研究実績の概要 |
有機物は大気中エアロゾル粒子の主要成分であり、気候や健康に大きな影響を与えているが、組成や成因の理解度が著しく低い。大気中に存在する有機エアロゾルの中でもとりわけ未知度の高い生物起源一次粒子(バイオエアロゾル)の計測を確実化することを目的に、以下の観測研究を実施した。長崎県五島市福江島において、2015年春季に約2週間オンライン蛍光測定装置(自家蛍光および加熱自家蛍光法)を用いた集中観測を実施した。同時に、バイオプローラーを用いたDNA染色法を利用したオフライン分析も実施し、オンライン法によるバイオエアロゾル計数の判断基準について、比較評価を行った。自家蛍光検出装置(WIBS4)で測定した蛍光性生物由来粒子はオフライン分析の死菌数濃度(PIによる染色蛍光)とオーダーは一致したことから、オンライン法で3チャンネルの蛍光(FL1: 280nm励起310-400nm蛍光、 FL2: 280nm励起420-650nm蛍光、FL3: 370nm励起420-650nm蛍光)の全てで有意な信号を検出した場合を判断基準とすることの妥当性が検証された。また、加熱自家蛍光の連続測定の結果とオフライン分析を比較した結果も生物由来粒子数の経時変化はよく一致している期間や不一致の期間などが確認された。今後、蛍光強度波長依存性の解析によりオフライン分析の結果との一致/不一致の原因などを追及していく予定である。また、海洋性バイオエアロゾルに関する蛍光特性の評価を進めるため、海洋地球研究船「みらい」のMR15-05航海(インド洋東部)において、オンライン・オフライン蛍光同時測定を実施し、比較検証のためのデータを取得した。実験室での検証のために励起光源として使用するレーザーの整備が必要となり、その一部を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン法、オフライン法ともにフィールド(離島および船舶)での観測への運用に成功し、比較評価のためのデータが取得できた。予備的な結果では、比較的良好な一致がみられ、大幅な条件の見直しなどは必要ないことがわかり、研究が進展したといえる。蛍光特性に基づいて粒子を分別捕集する点については、実験室でのレーザーの整備を進め取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
バイオエアロゾルの計数の確実化を達成するために、福江およびMR15-05航海でのデータ解析を継続するほか、生物活動が盛んであると考えられる南大洋航海でも観測データを取得し、比較検証を行う。粒子全体に占めるバイオエアロゾル量の割合や、バイオエアロゾル中での生死割合についてもデータを整理して考察する。レーザー整備を進め、並列での比較に加えて、直列での比較計測や分別捕集に関する研究開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験室での評価のために、レーザー整備を段階的に実施する必要が生じ、物品費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度導入した532nm発振モジュールを用いた色素レーザーの発振状況を確かめたのち、第2高調波結晶を購入して紫外励起光を発振させる。その他、南大洋航海への乗船観測出張旅費、機器部品類、観測消耗品、試薬等の物品購入に充てる。
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