研究課題/領域番号 |
26281041
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池 道彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40222856)
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研究分担者 |
惣田 訓 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322176)
黒田 真史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20511786)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 根圏浄化法 / 芳香族化合物 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
水生植物根圏から単離されたSphingobium fuliginis OMI株の芳香族化合物分解メカニズムを明らかにすべく、トランスクリプトーム解析を行った。RNA-SeqによってOMI株の遺伝子の転写を網羅的に解析したところ、tbp遺伝子群の転写は、4-tert-butylphenolの添加によって1.02-5.13倍に上昇した。また、検出された全遺伝子のうち、極めて高い転写促進が見られた(11.4-63.2倍)一連の遺伝子群は、いずれもOMI株による4-tert-butylphenolの分解の過程で蓄積する中間代謝物であるピバル酸の代謝経路に関わることが推測され、これより、OMI株によるピバル酸代謝経路を推定することができた。 さらに、4-tert-butylphenol代謝時のtbp遺伝子群の転写量をreal-time PCRを用いて確認したところ、4-tert-butylphenol添加直後の0時間においてtbpA1、tbpBの転写が上昇していることが確認された。さらに、4-tert-butylphenolが42 %分解された0.5 時間においてはtbpA1、tbpB、およびレギュレータータンパク質をコードするtbpR2の転写量が2.0-6.2倍となった。以上、tbp遺伝子群の転写量は4-tert-butylphenolの添加により有意に上昇したことから、tbp遺伝子群は4-tert-butylphenolの分解に関わることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OMI株による芳香族化合物分解はウキクサ根圏において活性化されることが明らかとなっており、OMI株はウキクサによる芳香族分解活性化機構のモデル生物とみなすことができる。本研究によって明らかとなったOMI株の4-tert-butylphenol分解に関する遺伝子群は、活性化機構の解明に向けた大きな手がかりとなると考えられることから、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
OMI株について、ウキクサとの共存下、またはウキクサの根分泌物を添加時に転写量が有意に変化する遺伝子群をトランスクリプトームにより明らかにし、OMI株の芳香族化合物分解に関連する遺伝子群や、センサータンパク質、走化性関連遺伝子等に着目して解析することで、OMI株における芳香族化合物分解活性化メカニズムを明らかにする。 また、ウキクサの根圏に集積される細菌群をそれぞれ単離し、分類学的解析や芳香族化合物分解特性の解析等を通して特徴付けることで、ウキクサが特異的に集積する微生物群集の特徴を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入のタイミングがずれたためであり、概ね計画通り予算執行している。
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次年度使用額の使用計画 |
トランスクリプトーム解析の消耗品を購入する。
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