研究課題
微生物産生ポリエステルは、ある種の微生物が細胞内に合成蓄積する貯蔵物質であり、単離するとプラスチック物性を示すことから、再生可能なバイオマスから合成されるプラスチックとして利用可能である。このポリマーを産業利用するためには、すぐれた材料物性を発揮させることが重要な課題となる。ポリマーの物性は、材料中の高分子結晶の割合と、非晶部の運動性によって大きく影響される。複数のモノマーユニットを含む共重合体は、通常複数のユニットが高分子鎖にランダムに取り込まれたランダム共重合体が合成される。ランダム共重合体は結晶の成長が抑制されることから、材料の柔軟性が向上するメリットがある。我々の研究グループでは、共重合体の合成研究の中で、ポリマー中のモノマー配列のランダム性が低いポリマーが合成される条件を偶然見出した。本研究課題では、このポリマーの生合成条件の確立、合成されたポリマーの構造解析、ポリマーの生合成に関わる酵素群の生化学的解析を目的とした。種々の条件検討の結果、二成分ポリマーにおいて、モノマー組成をほぼ0~100%の間で制御することに成功した。ポリマーの構造解析では、NMRおよび顕微鏡観察によりランダム共重合体とは異なる構造上の特徴を見出すことができた。生化学的解析では、関連酵素と酵素アッセイに用いる基質の合成および単離精製に成功し、目的とした酵素の生化学的解析を実施した。これらの研究を通じて、新規な構造的特徴を有するバイオポリマーの合成方法を確立し、その構造機能相関に関しての知見が得られた。また、これまで定性的に議論されることの多かったポリマー合成酵素群の活性について、定量的な理解を可能にする基礎的知見を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Biomaterials Science & Engineering
巻: in press ページ: in press
10.1021/acsbiomaterials.6b00194
ACS Sustainable Chemistry & Engineering
10.1021/acssuschemeng.6b02679