現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標としていたレーザー誘起プラズマ発光セルの開発を行うことができ、原著論文として発表することができた。(柏倉俊介、我妻和明:レーザー研究、42(12), (2014) 908-912.)また、本測定装置の応用分野として、金属材料中の介在物の迅速評価についての研究を行い、その成果を原著論文として発表することができた。(笠原岳、柏倉俊介、我妻和明:分析化学、64(1), (2015) 35-41.)さらに、介在物評価に関する研究成果を国際会議における招待講演として公開した。(G. Kasahara, S. Kashiwakura, and K. Wagatsuma: World Green Energy & Resources Congress 2014, Beijing, China, Nov. 1-3, 2014.) 以上のような実績より、本研究課題は概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本申請課題にて採用した分光分析装置はCzerny-Turner型のイメージング分光器に検出器としてインテンシファイアを備えたCCDカメラを併用したものであり、一般的にレーザ誘起プラズマ発光分光分析法に用いられるエシェル分光器と比較して非常に明るく検出感度が高いことに加えて、微量元素からの発光線の選定によっては母相の鉄からの発光線をICCDカメラに導入しないことが可能であるために、分析条件の更なる最適化によってより高感度な測定が可能なシステムである。本年度は前述の国家備蓄7元素(Mn, Cr, Ni, Mo, Co, W, V)に加えて、Si, Ti, Al, Nbの最適な分析発光線、すなわち強度が比較的強く、母相あるいはこれらの微量元素相互から分光干渉の少ない発光線を検討し決定する。しかる後にこれらを含有した鋼種類の判別について、前述の測定条件の最適化等により1秒以内に達成することを目的とする。 また定量分析については前述の通り、レーザープラズマからの発光信号の積算回数が多いほどS/N比の向上とばらつきの低減が期待できる。申請者の研究室においては発振周波数が1kHzのNd:YAGレーザを別途所有しているが、この発振周波数に対してはCCDカメラのフレームレートの追従は不可能である。導入した分光器は光路を2系統備えているため、もう1方の系統において直接光電子増倍管を取り付け、分析波長を固定してプラズマからの発光信号に対して発生する光電流を直接観測することにより、1kHzの周波数にて発生するプラズマからの発光信号を全て取得し、短時間に高精度の元素分析を可能にすることを目指す。
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