研究課題/領域番号 |
26281047
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小林 剛 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (60293172)
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研究分担者 |
高橋 ゆかり 富山国際大学, 現代社会学部, 講師 (00712689)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 土壌汚染 / 気相経由曝露 / 気相経由土壌汚染 / 管理基準 / リスク / 曝露シナリオ |
研究実績の概要 |
1.土壌汚染物質の気相から食品・水への吸収/沈着速度の調査・測定と経口曝露評価 「気相から食品・水への吸収速度の調査・測定と経口曝露評価」のために、引き続き揮発性有機化合物のオクタノールへの吸収・濃縮速度の実測調査と解析を行った。水と比較して、油中には数百から数万倍も濃縮しやすい物質があることが分かった。汚染物質毎の土壌汚染地の上部の利用者、近傍の住民を想定した曝露量の評価を行い、吸入リスクと比較してどの程度のリスクとなるかを推算した。また、前年度に引き続き、「土壌汚染物質の気相からの沈着速度の調査・測定と土壌汚染・経口曝露評価」のための実測調査として幹線道路近傍での堆積粉塵についての調査や解析を行った。 2.土壌汚染物質の気相への放散/飛散速度の調査・測定と吸入曝露評価 「揮発性有機化合物の土壌から気相への放散速度の調査・測定と吸入曝露評価」のために、前年度に引き続き、放散速度について推算した。また、産総研のGERASや経産省大気拡散予測モデル(METI-LIS)を用いて、汚染物質毎の放散による吸入曝露量評価を行った。「重金属類等の土壌から気相への飛散速度の調査・測定と吸入曝露評価」のための実測調査と解析を行った。汚染物質毎の飛散による土壌汚染地の上部の利用者、近傍の住民を想定した吸入曝露量の評価を検討した。 3.気相経由曝露経路の評価手法と土壌管理基準の考え方の検討 多様な曝露経路を想定した曝露量の推定・評価手法の検討を始めて、気相経由での曝露によるリスクの大きさに応じた、土壌管理基準値の考え方について検討した。現在の土壌環境基準設定物質に限れば、その基準値であれば、上部の家屋等内での食品への移行は、油含有食品への濃縮を考慮した場合であっても十分に低リスクに管理できることが示唆された。研究成果については、学会発表を行い、論文投稿の準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したように、順調に研究成果が得られつつあり、既に8件(内4件は平成27年度)の学会発表を行っている。また、平成28年度も既に2件の関連の発表を申請しており、2報の論文発表の準備も進めている。また、研究成果を踏まえて、土壌汚染リスクの評価と管理技術に関する講演や関連の国および自治体の委員会委員として積極的に情報発信を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.土壌汚染物質の気相から食品・水への吸収/沈着速度の調査・測定と経口曝露評価 「気相から食品・水への吸収速度の調査・測定と経口曝露評価」のために、引き続き揮発性有機化合物の油類や水への吸収・濃縮速度の実測調査と解析を行う。汚染物質毎の土壌汚染地の上部の利用者、近傍の住民を想定した曝露時間による経口曝露量の評価結果についてまとめるとともに、不確実性の幅についても検討する。また、引き続き、「気相からの沈着速度の調査・測定と土壌汚染・経口曝露評価」のための実測調査や解析も行う。汚染物質毎の土壌汚染地の上部の利用者、近傍の住民を想定した経口曝露量の評価結果をまとめる。不確実性の幅について評価する。 2.土壌汚染物質の気相への放散/飛散速度の調査・測定と吸入曝露評価 「揮発性有機化合物の土壌から気相への放散速度の調査・測定と吸入曝露評価」のために、引き続き、放散速度と不確実性について整理・解析してまとめる。また、GERASやMETI-LISモデルを用いて、汚染物質毎の放散による吸入曝露量評価を行いまとめる。不確実性の幅の評価する。前年度に引き続き、「重金属類等の土壌から気相への飛散速度の調査・測定と吸入曝露評価」のための実測調査と解析を行いまとめる。またMETI-LISモデルを用いて、大気濃度分布により地表からの放出速度を逆算し、飛散速度を推定を試みるMETI-LISモデルを用いて、汚染物質毎の飛散による土壌汚染地の上部の利用者、近傍の住民を想定した吸入曝露量の評価を行う。モデルに用いたパラメータの感度解析を行い、評価結果の不確実性の幅を解析、評価する。 3.気相経由曝露経路の評価手法と土壌管理基準の考え方の検討・提案 多様な曝露経路を想定した曝露量の推定・評価手法をとりまとめる。土壌管理基準値の考え方を整理し、代表物質の環境管理参考濃度を算出する。研究成果は適宜、社会へ発信する。
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