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2014 年度 実績報告書

気候変動による森林限界の移動とその要因

研究課題

研究課題/領域番号 26281049
研究機関東北大学

研究代表者

中静 透  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (00281105)

研究分担者 黒川 紘子  国立研究開発法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (70515733)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード環境 / 植物 / 生態学 / 温暖化
研究実績の概要

高木限界には、温度条件だけでなく、地質・地史(基岩、火山噴出物など)、地形、積雪、強風などが影響すると考えられている。これらを考慮して中部地方から北海道にいたる高山帯をもつ山岳約20座を選定した。それぞれの山岳で、過去(1980年前後)と現在(2010年前後)の空中写真を購入し、斜面方位や地形などを考慮して山頂を取り巻き、山頂に向かって計測線を設定した。調査地点の空中写真をStereo Viewerを使用して高木限界付近の植生高を測定した。高木限界を樹高5m以上の樹木の存在するもっとも標高の高い地点と定義し、その標高を記録した。
まず、空中写真測定の精度を検証した。空中写真からStereo Viewerを用いて測定した樹高と現地でGPSにより位置を特定して測定した樹高との関係を予備的に解析した結果では(図1)、空中写真による推定が1-2m過小推定になる傾向があったが、おおむね正確に測定されていることが分かった。
調査した山岳では、高木限界が最近30年間で、おおむね1年あたり標高で0.3m上昇していることが分かった。これに対して、気温の上昇スピードは1年あたり約1.5mであり、高木限界の上昇は、気温上昇スピードの1/5程度であることが分かった。現在、こうした上昇スピードを決定する要因について、地質・地史、地形、積雪、強風、気温の変化量などとの関係を解析中である。今後、さらに調査地点を増やすとともに、解析を進めて、気候変動の影響を受けやすい山岳地域を特定するとともに、気候変動シナリオを用いた予測を可能にする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた調査予定の山岳地域の候補よりは座数が少なくなったが、その分、測定地点の数を相当増やして、おおむね予定通りの懐石が可能となっている。

今後の研究の推進方策

さらに測定を行う山岳地域の数を増やすとともに、高木限界の上昇速度を決定する要因についての解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

空中写真を用いた測定を行う山岳地域の数を減らし、その代わりにひとつの山岳地域での測定箇所数を増やした。そのため、年度内に処理する時間などを確保できるかどうかを試してみた。その結果、購入する写真が減った。

次年度使用額の使用計画

処理時間などのおおまかなめどがたったので、次年度は予定していた数の山岳地域で未購入の地域についても写真を購入し、解析を行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 機能形質から種のニッチ,共存,そして消失を理解する:亜高山帯湿原群集を対象とした群集生態学と生理生態学からのアプローチ2014

    • 著者名/発表者名
      彦坂幸毅・佐々木雄大・神山千穂・片渕正紀・及川真平・嶋崎仁哉・木村 啓・中静 透
    • 雑誌名

      地球環境

      巻: 19(1) ページ: 33-46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 気候変動が森林動態に与える影響と将来予測:八甲田山のオオシラビソを例として2014

    • 著者名/発表者名
      田中孝尚・嶋崎仁哉・黒川紘子・彦坂幸毅・中静 透
    • 雑誌名

      地球環境

      巻: 19(1) ページ: 47-55

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vulnerability of moorland plant communities to environmental change: consequences of realistic species loss on functional diversity2014

    • 著者名/発表者名
      Takehiro Sasaki, Masatoshi Katabuchi, Chiho Kamiyama, Masaya Shimazaki, Tohru Nakashizuka and Kouki Hikosaka
    • 雑誌名

      Journal of Applied Ecology

      巻: 51 ページ: 299-308

    • 査読あり
  • [学会発表] 樹木の養分再吸収率と成長戦略との関係2015

    • 著者名/発表者名
      川邊瑞穂,黒川紘子,中静 透
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] カワウの営巣が森林動態に与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      杢屋貴士,中静 透,亀田佳代子
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] The differences in soil properties under fir and beech in the mixed forest on Mt. Hakkouda, Japan2015

    • 著者名/発表者名
      DAUMAL, M. KUROKAWA H. HASHIMOTO K. UEDA, M. NAKASHIZUKA, T
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] 環境条件によるブナ林の窒素循環の違い2015

    • 著者名/発表者名
      橋本桂佑,田中孝尚,黒川紘子,中静 透
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] どんな葉っぱが食べられる?:形質-被食の関係のギルド間比較2015

    • 著者名/発表者名
      小黒芳生,高柳咲乃,黒川紘子,饗庭正寛,中静 透
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] 樹木群衆の被食率を説明する形質は何か?:成木と稚樹の比較2015

    • 著者名/発表者名
      高柳咲乃,小黒芳生,黒川紘子,饗庭正寛,中静 透
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22
  • [学会発表] 長期的シカ柵からみえてきたこと-ブナ林2015

    • 著者名/発表者名
      中静 透
    • 学会等名
      第62回日本生態学会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2015-03-18 – 2015-03-22

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公開日: 2016-06-01  

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