研究課題/領域番号 |
26281052
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研究機関 | 四條畷学園大学 |
研究代表者 |
嘉田 良平 四條畷学園大学, リハビリテーション, 教授 (90111947)
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研究分担者 |
田中 勝也 滋賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20397938)
吉田 謙太郎 長崎大学, その他の研究科, 教授 (30344097)
湯本 貴和 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70192804)
市川 昌広 高知大学, 自然科学系, 教授 (80390706)
宗村 広昭 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (90403443)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生態系サービス / アグロフォレストリー / 環境支払い意思額 / 土壌・熱帯林保全 / インドネシア / フィリピン |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジア諸国におけるアグロフォレストリー(混農林業)の普及を柱とした、生態系サービス支払い(PES)の制度設計にむけた実証研究である。そこで本研究では、対象地域における生態系サービスの需要・供給分析をおこなうとともに、アグロフォレストリーが生態系サービスに与える影響を生態学・水文学的見地で評価をおこなうこととした。次に、その水準の生態系サービスを保全するために必要なPESの制度設計をおこなう。最後に、政府・農家・地域住民などのステークホルダーの相互関係について考察をおこない、制度を円滑に実施してくための提言をおこなう。 アジア諸国において、生態系サービスの特徴あるいは森林・農地保全の状況は国・地域ごとに大きく異なる。そのためPES制度をより一般化し普及させるためには、異なる地域での実態調査に基づく比較分析が必要であり、本研究ではインドネシアとフィリピンを対象として実証研究を行うこととした。 平成26年度においては、インドネシア・フィリピン両国の特定集水域を対象として社会的に望ましい生態系サービスの保全にむけて、アグロフォレストリーを柱とする生態系サービスの需要・供給を定量化するために、対象集水域にとって望ましい生態系サービスの水準を明らかにするための基本データの収集と、主要ステークホルダーの環境問題に対する意識と行動の実態、環境支払いの意思額についての集中ヒアリングおよび農家アンケートを実施した。これらの基礎データを用いて、次年度においては、PESの制度設計につながる需要・供給両面からの数量的試算および制度設計の可能性についての検討を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)インドネシア、フィリピン両国とも数度にわたって行われたPES支払いに関する基礎調査及びそのための合同研究会を実施することによって、これまでの本研究の成果と到達点について確認することができた。 (2)さらに、地元関係者(農業生産者、流通業者、NGOなど)へのインタビューを通じて、本研究の目的および実施プロセスについて、必要な情報共有を行うことができたと判断される。本研究においては関係者間の意思疎通がとくに重要と思われるので、現場における調査連携の仕組みづくりにとくに配慮した。 (3)研究成果の公表についてはまだ十分ではないが、現在ようやく取りまとめを開始したところであり、27~28年度において学術雑誌等への投稿を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、PESの制度設計につながる需要・供給両面からの数量的試算および制度設計の可能性についての検討および水循環への影響に関する分析を試みる。そのため、これまでに実施した調査データの整理と分析を踏まえて、望ましい生態系サービスの水準を明らかにするとともに、主要ステークホルダーの環境保全対策の取り組み実態、環境支払いの意思額について詳細ヒアリングおよび農家アンケートを実施する。実態調査は、インドネシア・スマトラ島ではランプン州タンがムース集水域、そして、フィリピンにおいてはラグナ州サンタローザ集水域を対象として行い、比較分析がどこまで可能であるのかについても検討する。
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