研究課題/領域番号 |
26281055
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田村 誠 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 准教授 (10376585)
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研究分担者 |
田林 雄 関東学院大学, 経済学部, 講師 (30549837)
横木 裕宗 茨城大学, 工学部, 教授 (70240190)
安原 一哉 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 特命研究員 (20069826)
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 教授 (90431650)
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 教授 (10205510)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気候変動 / 適応の限界 / レジリアンス / 沿岸域 / 海面上昇 / 海岸侵食 / 農業 / 高温耐性 |
研究実績の概要 |
本研究は、沿岸域災害と農業を対象に、適応策の有効性(影響軽減度)評価手法を開発し、それに基づく「適応の限界」と有効性の特定を試みた。 ①沿岸分野: (1)RCP/SSPシナリオに基づく海面上昇に伴う全球の浸水影響評価を実施した(田村・熊野, 2017)。さらに、ベトナムでの海岸侵食の現地調査や防護費用データベースを構築し(Tamura et al. 2016)、適応策の費用便益分析を準備した。(2) 2015年鬼怒川水害調査から、i)本水害は低平地での気候変動による典型的な複合災害であること、ii) 適応策は自助、共助、公助の効果的な融合が必要であること、を強調した。これら日本での適応策はベトナムなどでも適用可能だと指摘した。(3) 詳細な地図が存在しない陸域や沿岸域の水中地図作成技術の確立に関してソフトウェアや測量機械を用いて研究した。 ②農業分野: (1)カバークロップの作物種選択が有機農業および化学肥料栽培での土壌および水質保全効果に及ぼす影響に関する調査結果を学術誌に投稿し採択された(Komatsuzaki in press)。さらに福島県葛尾村の農家と連携して、土壌保全に効果的なカバークロップ選択のための栽培試験を実施し、耕作放棄地などの土壌保全対策としてカバークロップの有効性について検討した。(2) 培地上に接種した菌類を苗立枯病菌(Fusarium spp.およびRhizoctonia spp.)が死滅する積算温度(それぞれ50℃24時間および50℃72時間)に達するまで培養し、その後1か月間室温で培養した際の生存可否を確認した。その結果、供試した5菌株中3菌株で50℃72時間培養後も生存が認められ、耐熱性菌類として選抜した。さらに、選抜した菌株を植物へ接種した結果、1菌株の接種区では対照区と比較して地上部乾燥重量が有意に増加しエンドファイトであることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、沿岸域影響評価、現地でのモニタリング調査、適応栽培技術の開発等を通じて、適応策の有効性と限界に関する知見を集積している。成果の一部は既に発表を行っており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
沿岸域適応策の限界と有効性に関する影響評価と現地調査、農業分野における高温条件下の適応栽培技術、土壌保全をもたらす栽培技術の開発などの3年間の研究に基づき、最終成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定どおりに執行したが、海外の現地調査関係者と本研究関係者との調整が付かず旅費がやや少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は予算計画にあるとおり、影響評価、現地調査、適応栽培技術に関する実験等に使用し、最終成果をまとめる。
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