研究実績の概要 |
1)森林バイオマス賦存量推計モデルの構築においては,UAVを導入し,まず森林の自動判読システムの構築を試みた.UAVによる地上写真の分解能は約5cmで,三次元の形状を取得することも出来る.そこで,三次元形状と色情報より樹木を判読し,その本数とその樹高を判読するシステムを構築した.その結果,樹木本数においては,針葉樹の場合99%の抽出率を達成したが,広葉樹の場合,針葉樹に比べてピーク形状がはっきりしないため30%しか抽出率が上がらなかった.一方で,樹高の計測精度は非常に高く,バイオマス量を把握するための重要な指標を得ることが出来た. 2)有用植物資源賦存量モデルおよび推定自生適地評価モデルの構築においては,現地調査を実施するにあたり,現地調査用のスマートフォンアプリを開発した.アプリケーションの主な機能は,位置情報入力,植物名入力,土壌調査結果入力等である.このアプリケーションを用いた場合,従来の野帳にて入力するのに比べて,85%の時間短縮に成功した.現地調査は,四国において441箇所実施した.採取した植物は,ヒメコウゾ,リョウブ,ウバユリ,ズイナ,ケクロモジ,ウワバミソウ,クロモジ,ホタルブクロ,コバノガマズミ,セキショウ,コウヤボウキ,ナンカイギボウシ,ツリガネニンジン,イヌビワ,コバノガバズミである.調査結果は,地理情報システムに入力し,植物の自制適地性を評価した.適地性評価には,地形情報,地質情報,全天日射,気温,降水量等のデータを利用した.現在,適地選定のアルゴリズムを評価中である. 3)局所環境要素の詳細分析と植物の活性成分との関係の解明においては,採取した植物の化学分析を実施している.サンプル数が膨大なため,未だ採取したサンプルの分析が完了していないが,27年度中に完了させ,詳細分析を実施予定である.
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