研究課題/領域番号 |
26282007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金 大雄 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90346859)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ミュージアムコンテンツ / コンテンツデザイン |
研究実績の概要 |
平成28年度は、教育現場におけるニーズ調査による詳細設計を基に次世代型学習支援システムの構築を行った。小学校6年社会科の学習指導要領をもとに、米作りが広まる弥生時代と卑弥呼をテーマに「弥生時代の女王卑弥呼」というタイトルのポータブル展示システムを開発した。本展示システムのコンセプトは、組み立てが簡単で持ち運びができるものである。 ①博物館の展示コンテンツのデジタル化とレプリカ作成:展示物およびそれに関連する情報をデジタル化し、タブレット端末にて閲覧・操作可能なコンテンツを開発した。博物館においてデジタルアーカイブ化された収蔵品等のデータと新たにデジタル化した収蔵品等のデータを用いて、学習支援システムのコンテンツを制作した。生徒が仮想空間で展示コンテンツと接するだけではなく、得られた3次元形状データから、本物そっくりのレプリカをハンズオンコンテンツとして製作した。 ②インタラクティブ教材制作:ストーリー性に長け、学習者を退屈させないインタラクティブな教材を制作した。これにより、集中力や知識定着が図られ、能動的・効率的に学習を進めることが可能になる。その手法として、デジタル化した博物館の3DCGコンテンツや動画、静止画、音声などを駆使したAR教材を制作した。また教材には、博物館の学芸員の解説映像やネット上でのリアルタイムで質疑応答を行うシステムを構築した。 ③博学連携による授業プログラムの開発:インタラクティブな要素を取り入れた博物館の豊富なコンテンツを活用して、タブレット端末とレプリカの展示品を用いた授業プログラムを開発した。また学習指導要領に従って学習指導計画書を作成した。授業の内容によっては、ネットワークを活用した学芸員のリアルタイム解説や参加を試みるプログラムも開発した。そのプログラムにより、博物館と離れた遠隔地の教育機関においても博物館学習を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年目の研究として、当初の計画より進んでいる。平成27年度に製作したプロトタイプの検証結果を反映したモバイルミュージアムコンテンツを開発した。現場の教師や博物館の学芸員の協力のもと、小学校の生徒にも親しんでもらえるインタラクティブ展示コンテンツとして卑弥呼のバーチャルキャラクターの制作など、参加型展示コンテンツの開発を行い、来年度の実証実験に向けた研究を進めている。その成果として、学会等での研究発表を着実に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果をもとに来年度は、小学校における実証実験を行う。完成した教育プログラムを九州地域の小学校において実証実験を実施し、そこで得られた各データについて整理、分析を行い、再評価・再構築を繰り返し、プログラムの体系を完成させる。完成したプログラムと運営システムを統合した教育支援システムの体系化を行い、代表的な教育モデルを抽出するとともに、理論的な枠組みを完成させる。さらに本研究を進める上で得られた知見や成果を明確にして、広く社会に公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に行ったミュージアムコンテンツ制作の際に物品購入の予定だった金額に差額が発生したため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、来年度の実証実験の際にミュージアムコンテンツの修正費用として、未使用額はその経費に充てることとした。
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