研究課題/領域番号 |
26282011
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
與倉 弘子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50165784)
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研究分担者 |
今村 律子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00176504)
赤松 純子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (40141709)
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20304074)
潮田 ひとみ 東京家政大学, 家政学部, 教授 (40223523)
深沢 太香子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90423574)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 衣生活教育 / 衣生活科学 / 教材開発 / 人間生活環境 |
研究実績の概要 |
本研究は、衣生活の現代的リスク課題に備えるための衣生活教育の体系化と教材開発を目的とする。衣生活教育の指導内容を現代的教育課題として位置づけ、安全・安心、減災・防護、環境保全の3つの柱を設定した。これらを基軸に5つのサブテーマ(熱中症・紫外線対策、衣料障害対策、洗濯と環境保全、衣服の廃棄と有効利用、減災・防護テキスタイル)を設定した。H27年度は、設定した5つのサブテーマについて、衣生活教育内容の基本である「着方」と「手入れ」に関連させた学習内容の再構築・体系化を引き続き進め、附属校・公立校との連携に着手した。 1.熱中症・紫外線対策:熱中症・紫外線対策を小学校家庭科の着方学習の発展的な指導内容と位置付け、中・高等学校における「リスクに応じた着方学習」として着方学習内容の体系化を進めた。低温・低圧環境における体温調節と衣服について、学習コンテンツの開発を行った(深沢、今村)。2.衣料障害対策:皮膚障害をテーマとして、健康な着方に関する学習内容の精査・体系化を進めた。高島ちぢみなど強撚糸織物の肌触りと布の構造特性との関係を捉えた(與倉、山田)。3.洗濯と環境保全:家庭科における「衣服の手入れ」に関する指導内容の実態調査を踏まえて、洗濯実習に関する教育内容を再検討し、洗濯による環境負荷をリスク課題とした衣生活教育内容の精査・体系化を進めた(深沢、潮田、今村、與倉)。4.衣服の廃棄と有効利用:衣服の過剰消費を現代的リスク課題として捉え、布おむつの繰り返し着用による風合い変化を評価して、繰り返し使用できる布おむつの付加価値に関する教材内容を検討した(與倉、赤松)。5.減災・防護テキスタイル:減災対策としては布の燃焼性に着目して、災害時のリスク回避に関する衣生活教育内容を検討し、精査・体系化を進めた。また、科学的に学ぶ衣生活の授業について、附属校・公立校との連携を進めた(今村、赤松)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、衣生活教育の指導内容を現代的教育課題として位置づけ、安全・安心、減災・防護、環境保全の3つの柱を設定した。これらを基軸に5つのサブテーマ(熱中症・紫外線対策、衣料障害対策、洗濯と環境保全、衣服の廃棄と有効利用、減災・防護テキスタイル)を設定した。H27年度は、設定した5つのサブテーマについて、引き続き衣生活教育内容の基本である「着方」と「手入れ」に関連させた学習内容の再構築・体系化を各担当で進め、研究会を二回開催して進行状況を確認した。また、学会発表会場で適宜研究打ち合わせを行い、おおむね順調に進展することが出来た。 1.熱中症・紫外線対策:中・高等学校における「リスクに応じた着方学習」として着方学習内容の体系化を進めた。低温・低圧環境における体温調節と衣服(高所で着用する衣服)について、雑誌論文として報告した。2.衣料障害対策:皮膚障害をテーマとして、健康な着方に関する学習内容の精査・体系化を進めた。表面に凹凸のある高島ちぢみ等の強撚糸織物の触感と布の物理特性との関係を評価して、雑誌論文として2件報告した。3.洗濯と環境保全:家庭科における「衣服の手入れ」に関する指導内容の実態調査を行い、洗濯による環境負荷をリスク課題とした衣生活教育内容の精査・体系化を進めた。研究成果を日本衣服学会で2件報告した。4.衣服の廃棄と有効利用:衣服の過剰消費を現代的リスク課題として捉え、布おむつの繰り返し着用による風合い変化を評価して、雑誌論文として報告した。5.減災・防護テキスタイル:減災対策としては布の燃焼性に着目して災害時のリスク回避に関する衣生活教育内容の精査・体系化を進めた。また、科学的に学ぶ衣生活の授業について附属校・公立校との連携を進め、その成果を日本家政学会年次大会(5月)で報告する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(H28年度)は、5つのサブテーマに関してこれまで検討・提案してきた学習内容やモデル教材・教授法について、引き続き演示実験や電子動画像、物性データ等のコンテンツ開発を行い、授業実践を見据えた見直しと再提案を行う。 定期的に衣服教育研究会を開催して、各担当で取り組んだサブテーマの学習内容やモデル教材の精選、その有効性を検討する。再検討したモデル教材や教授用資料等を、現職派遣の大学院生への講義、教員免許状更新講習等で教授用資料やモデル教材を提案して、衣生活のリスク回避に関する教師の学びを支援するとともに、授業実践に向けて試案の有効性を検証する。絞り込んだ授業実践の可能なサブテーマについて、各附属学校教員や各府県の教員等の現職教員と協働して授業実践を試みる。必要に応じて学習内容の再考とテーマの絞り込みを行い、選定したテーマについて授業実践と評価を積み重ね、より実行性のある学習教材や指導内容を検討する。 得られた成果を取りまとめ、関連学会等で報告するとともに、研究実績のあるサブテーマについて、教師用パンフレット・教授用副読本、教材パック等を作成する。教員研修等で配布して、研究成果を広く教育現場に還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿を予定していた論文をまとめるにあたり、データの不足が生じた。そのため、夏季に行う必要のある着用実験と、一部の素材特性の測定と次年度に行うことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
夏季に着用実験と素材特性の測定を行うため、次年度配分額を合算して、素材特性試験のための消耗品の購入や着用実験に掛かる費用に充てる。
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