研究課題/領域番号 |
26282014
|
研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
水谷 千代美 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (00261058)
|
研究分担者 |
梶原 莞爾 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (10133133)
弘田 量二 高知大学, 教育研究部, 講師 (20448385)
細谷 聡 信州大学, 繊維学部, 准教授 (40293500)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 消臭繊維 / 悪臭 / 消臭機構 |
研究実績の概要 |
高齢者施設や病院では、排泄物臭や体臭などの悪臭が問題となっている。本研究では、高齢者施設の室内環境(温度・湿度・気流)をシミュレートした消臭性評価装置を作成し、消臭繊維の消臭速度、消臭効果を調べた。消臭繊維として、活性炭素繊維(ACF-15)とその表面に酸加工した活性炭素繊維(ACF-15A)を試料として用いた。悪臭は、尿臭や汗臭の原因物質であるアンモニアガスを用い、消臭性評価装置にアンモニアガス1000ppmを流し続け、ガス流量を変えて二種類の活性炭素繊維の消臭効果を比較した。活性炭素繊維(ACF-15)の消臭機構は、アンモニア分子が活性炭素繊維の微細な孔に吸着するモデルを表す式で説明ができた。一方、酸加工した活性炭素繊維(ACF-15A)は、優れた消臭効果を示し、アンモニア分子と活性炭素繊維の酸との中和反応で消臭することがわかった。 次に、二種類の活性炭素繊維を展開することを考慮して空気の流速を変化させて消臭効果を調べた。その結果、活性炭素繊維(ACF-15)は、空気の流れが遅い場合は高い消臭効果を示すが、速い場合は消臭効果が低下することがわかった。この結果を踏えて活性炭素繊維(ACF-15)は、流速が遅い衣服に用いられることを有効であり、活性炭素繊維(ACF-15A) は流速の速いフィルターに展開ができることがわかった。 さらに、酸加工した活性炭素繊維(ACF-15A)をフィルターとしての適性を調べた。病室をシミュレーションした室内環境の中にダクトに酸加工した活性炭繊維(ACF-15A)を水平、垂直および円筒状に設置して、活性炭素繊維(ACF-15A)の形状が消臭効果に与える影響を調べた。その結果、活性炭素繊維(ACF-15A)を垂直状態に設置すると消臭効果が認められず、円筒、水平状態の順で高い消臭効果が認められた。試料の形状が消臭効果に影響を与えられることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的は達成できたように思う。 消臭繊維の消臭機構が実験により解明できた。また、この結果から消臭繊維の選定ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
成果を論文にまとめているところである。また、平成27年度は消臭抗菌抗アレルギー繊維の抗菌性と抗アレルギー性を中心に評価する。実際に、皮膚疾患をもつ患者および健常者にパッチテストを実施し、問題がない場合は着用実験を行う。これらの結果から消臭抗菌抗アレルギー繊維が肌に与える影響を調べる。 他方、消臭性、抗菌性などの様々な機能をもつ機能性繊維を介護医療分野に応用することを目的として、福祉先進国であるデンマークで介護用品および介護システムを調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消臭性評価装置を作成するにあたり、経常額よりも少額で作成することができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
様々な消臭抗菌抗アレルギー繊維を試料として、本研究で開発した装置を継続して消臭速度や消臭能力などを評価していきたいと考えている。また、余剰金は、平成27年度の目的である消臭抗菌抗アレルギー繊維の肌に与える影響を調べるために使用したいと考えている。
|