研究課題/領域番号 |
26282015
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
大谷 由紀子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (00411116)
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研究分担者 |
藤井 伸生 京都華頂大学, その他部局等, 教授 (50228954)
畑 千鶴乃 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60550944)
趙 王文女正 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60561157)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子育て支援 / こども家庭福祉 / 要保護児童 / デンマーク / 地域包括支援 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、課題をもつ子どもと養育困難な家庭支援の一義的な窓口である自治体の取組みについて「相談窓口を設置し、子どもと家族の課題を早期に見出し、支援の必要なケースへはサービスをつなぎ、継続的に支援する仕組みと実践拠点」に焦点を当て、国内調査とデンマーク・3コムーネでの調査を実施した。国内調査では新制度に向けた動向も聞き取った。得られた知見を以下にまとめる。 1) 国内の先行事例調査からは、市町村の要保護児童対策を支え緊密に連携する独立機関の存在、および、そこでの役割を把握した。例えば、鳥取こども発達家庭支援センターや品川区立家庭あんしんセンターでは、妊娠期からの相談支援・子育て支援・発達支援として、出産前から継続した支援を展開している。これらの機関は専用施設を設け、学童保育、ショートステイなど複数のサービスを提供し、包括的実践拠点として機能している。 2) 人口1~2万以下の小規模自治体では単独で要保護児童対策を実践することは難しく、新制度への対応や情報不足への指摘もあった。 3) デンマークでは要保護児童対策における早期発見・早期対応を予防とし、出産前から18歳(ケーによって23歳)の支援を展開している。すべてのコムーネで、妊婦健診や一般的な子育て相談からサービスをつなぎ子育て支援として取り組まれている。近年では青年から成人の分断が課題であり、高齢者までの切れ目ない要保護児童と家族支援が一部のコムーネで始まっている。 4) コムーネには①早期発見、②相談窓口・措置、③サービス提供、の3段階に対応した組織が存在し、人口6万人を1つのエリアとした年齢横断型組織が形成されている。サービス提供部門は実践拠点であり、廃校の学校や保育園、民家を活用した独立センターとしてファミリーハウスが設置されている。ここではサービスに対応した施設空間の重要性が指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度に予定した調査は順調に遂行した。但し、国内自治体調査は新年度の予算が最終決定する以前であったため、新制度での具体的な事業展開は次年度以降に調査を行うこととした。デンマークでは3コムーネにおいて政策把握と実践把握を行い、SFI(国立社会保障研究所)では国の政策動向を聞き取った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を踏まえ、国内調査は子ども子育て新制度における要保護児童対策の進捗、先行諸国の調査は新規調査としてアメリカ、イギリス、韓国などの情報収集を進め、調査地を絞り込む。 また、過去に実施したカナダ、スウェーデンの取り組みは近年の動向把握に努め、必要に応じて補足調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
先行国での訪問聞き取り調査を研究員全員で実施する予定で予算を組んでいたが、訪問先との再三にわたる日程調整により、研究員2名が大学入試等の行事と重なり、同行できなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に国内自治体調査(大分、大阪、東京ほか)、先行する海外の取り組み調査を(2か国)実施するための予算とする。
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