研究課題/領域番号 |
26282024
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
奥村 仙示 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30322259)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養学 / エネルギー密度(ED) / 日本食 / 満腹度 / 満足度 / デンシエット / Densiet / オミクス |
研究実績の概要 |
日本食は世界的に注目され長寿を支える秀逸な食事と考えられる。しかし、日本食のよさを示す科学的エビデンスは少ない。近年、1滴の血液から網羅的に代謝物の評価ができるメタボローム解析が開発され、今まで評価できなかった1回の食事が生体に与える影響を網羅的に検討し、日本食のよさを提案できる可能性が示された。 我々は、日本食のよさを評価することにおいて、エネルギー密度(ED)に注目した。EDは、エネルギーを重量で除したkcal/gで示され、水分の多い野菜やスープは低EDで、少量でエネルギーの高い脂質は高EDとなる。野菜が多いほど低EDとなるが、多ければ多いほどよいわけではない。また、単品野菜は飽きるので野菜量を多く食べられず、多種類の野菜は自然に摂取量が増加することが知られている。単品野菜で摂取量を検討する事で、野菜の必要最低量を決定できると考え、野菜や脂質量の違う食事で、満腹度・満足度を得るのに必要な野菜の必要最低量を検討した。 対象は、健常女性40名。同じ環境で検討を行うために、毎回同じ部屋で摂取を行い、6種類の低ED食と6種類の高ED食の計12食を、1週間毎の同じ曜日に昼食として摂取する無作為交差試験とした。食前、食後0.5、1、2、3、4、5時間毎に、VAS試験により満腹度・満足度について経時的に試験した。 低ED食において、満腹度は、食後30分において、野菜量80gに比し200gと280gが有意に高値を示した。また、満足度は、食後4時間において、野菜量80gに比し200gと280gが有意に高値を示した。高ED食の満腹度は、食後30分、1時間において、野菜量80gに比し240gと280gで有意に高値を示した。満足度は、有意な差はなかった。 本検討より、約500kcal、米飯150gの昼食において、野菜200g以上、ED1.1kcal/g以下の低ED食は、満腹度・満足度が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、脂質が少なく野菜が多い日本食の特徴を、EDの異なる献立を用いて評価し、満腹度・満足度の高い組成の基準を作成することを計画し実施できた。論文投稿の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は順調に進んでおり、研究の推進方法に変更はない。 EDに注目した低エネルギーでも満腹度・満足度の高い食事を、デンシエット(Densiet)として、商標登録をしており、科学的な機能性の検討、社会貢献として献立への展開を推進していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はおおむね計画通り進んでいる。 研究の中心となるオミクス解析推進のため、検体解析の途中過程や、測定後もデータ解析まで検体を長期的に保存しておく必要があるため、容量の大きい超低温冷凍庫が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
オミクス関連試薬と超低温冷凍庫のために、経費を使用する予定である。
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