研究課題/領域番号 |
26282025
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤村 由紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (20390304)
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研究分担者 |
兵藤 文紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (10380693)
三浦 大典 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (40532627)
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
早川 英介 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 特任助教 (20739809)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 抗酸化物質 / 酸化ストレス / 質量分析イメージング / 磁気共鳴画像診断 / 代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では、レドックス分子イメージング法(ReMI)により、生体内レドックスの特異的代謝反応を非侵襲的に捉えると共に、関連代謝やそれらを制御しうる抗酸化食品成分自身の時間的・空間的動態情報を独自の質量分析イメージング法(MSI)により一斉可視化を目指す。そのため、本年度は以下に示した実験を試みた。
①ReMI/MSI画像の高精度重畳化法開発:レドックス応答プローブを用いることで非侵襲的な生体内レドックス状態を可視化できるReMIによる in vivo レドックス画像をMSIによる in situ 代謝物分布画像と統合解析できる重畳化技術の開発を行った。特に、両データの正確な位置合わせのために、ReMI用プローブをマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析イメージング(MALDI-MSI)上で高感度検出できる条件を見出すと共に、双方で得られたプローブ画像の分布情報の重畳化技術の構築を試みた。その結果、3-Cmpがある種のナフタレン誘導体で高感度にMALDI-MSで検出可能であった。また、3-Cmpは、担がんモデルマウスに投与後の腎臓や腫瘍部位での分布も確認された。
②興味分子の高感度動態可視化に向けたMSI技術先鋭化:組織切片上の複数の興味分子の二次元分布情報を非標識で同時に可視化できるMSIのイオン化法であるMALDI法は、試料とマトリックスの混晶形成後、レーザー照射で目的物質をイオン化させる手法であるが、現状では興味分子の検出が困難な場合が多い。そこで本研究では、独自保有のマトリックスライブラリーを用いて、標準品レベルで見たい分子(低分子抗酸化食品・生体成分)の高感度検出を試みた。その結果、既存のマトリックスでは検出不可能な内在性代謝物群や食品成分群を検出できる有望なマトリックスを見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに、MSI上でReMI用のレドックスプローブの分布を可視化できる条件を見出すと共に、様々な内在性代謝物や抗酸化性食品成分を検出可能なMALDI-MS用のマトリックスを見出したため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた成果をもとに、MSIにおけるReMI用プローブのさらなる高感度化を行うと共に、種々のマトリックスにおける内在性代謝物・抗酸化性食品成分のイオン化の可否やイオン化効率に基づく構造活性相関解析を実施し、興味分子の高感度検出に必要な構造情報の取得を目指す。以上の研究に加え、有望なレドックスプローブとマトリックスを活用したReMI/MSIシステムを用いて、抗酸化食品成分の生体に及ぼす影響を検証する。
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