研究課題/領域番号 |
26282027
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
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研究分担者 |
市川 陽子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (50269495)
望月 和樹 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80423838)
本間 一江 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80724765)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エピゲノム / バイオマーカー / 食後高血糖 / 慢性炎症 / 末梢血 |
研究実績の概要 |
1. 肝臓由来培養細胞における高グルコース刺激による血糖調節関連遺伝子のエピゲノム制御: HepG2細胞を高グルコース環境で培養したところ、hsa-miR-24-3pの発現が低下するとともに、このmiRNAにより3’UTRを介して発現抑制が示されているHNF1B遺伝子のmRNA量が増大し、HNF1Bの標的遺伝子である糖新生律速酵素の遺伝子発現が増大した。それゆえ、肝細胞への高グルコース刺激は、インスリンによる糖新生抑制作用を、エピゲノム調節機構によって減弱させる可能性が示唆された。 2.肝臓におけるインスリン抵抗性関連遺伝子のエピゲノム調節機構:C57BL/6Jマウスに高脂肪食を投与して作成したインスリン抵抗性モデル動物では、スクロースの投与によって、HNF1B遺伝子の発現の正の調節因子であるHNF4Aや、ヒストンのアセチル化を促すCBPとp300の遺伝子発現が増大し、インスリン抵抗性の候補遺伝子であるALT-2遺伝子の発現が有意に増大した。一方、アセチル化ヒストン結合タンパク質Brd4のヘテロノックアウトマウスでは、スクロース投与によるこれら遺伝子の発現促進作用が消失した。 3.血糖上昇による末梢血白血球における炎症関連遺伝子のエピゲノム制御:2型糖尿病患者14名にα-グルコシダーゼ阻害剤を投与し、食事負荷による血糖上昇を抑制したところ、食事負荷後の末梢血白血球におけるIL-1βとTNF-αの遺伝子発現の増大が抑制された。ヒト単球様THP-1細胞における高グルコース刺激は、TNF-α遺伝子近傍におけるヒストンH3のアセチル化や、Brd4とRNAポリメラーゼIIの当該遺伝子への結合を増大させたが、Brd4阻害剤の存在下では、これらの変化は消失した。それゆえ、末梢血白血球における高グルコース刺激は、エピゲノム制御機構を介してTNF-α遺伝子の発現量を調節することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた細胞実験、動物実験ならびに臨床試験が、平行してほぼ順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
所期の計画通りに研究を推進する。
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