研究課題/領域番号 |
26282029
|
研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
水谷 好成 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40183959)
|
研究分担者 |
関根 文太郎 京都教育大学, 教育学部, 教授 (30236096)
杵淵 信 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30261366)
川崎 直哉 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (40145107)
西 正明 信州大学, 教育学部, 教授 (50218103)
田口 浩継 熊本大学, 教育学部, 教授 (50274676)
紅林 秀治 静岡大学, 教育学部, 教授 (60402228)
渡壁 誠 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70182946)
山本 利一 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80334142)
村松 浩幸 信州大学, 教育学部, 教授 (80378281)
松岡 守 三重大学, 教育学部, 教授 (90262980)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ものづくり / エネルギー変換 / 小学校 / 技術的素養 / 教科横断型学習 / 制御 / プログラミング / ロボット |
研究実績の概要 |
小学校で実施できるエネルギー利用教育の可能性として,理科と図画工作を融合させた学習の可能性を検討した.授業導入のしやすさから,特に図画工作に注目して検討を進めた.LED光源を使った教材,蓄電機能のあるコンデンサ・充電型電池に注目した教材の開発・改良を行ってきた.1)光電池とコイン型電池を組み合わせた,振動感知型の起き上がりこぼしランタン,2)乾電池1個で点灯する夜間活動用のLEDキャップ,3)自走型コンデンサ自動車などを提案してきた.振動感知型のランタンは,防災教育とも関連でき,熊本地震のような社会的な背景と組み合わせた授業作りができる.日常でも利用でき,非常時(停電時)にも利用できるような教材の例として示すことができた.さらに,「クランクを使った動くおもちゃ」にも注目した.クランク機構は中学校の技術科で扱われるが,そのしくみを小学校段階ではうまく説明ていなかった.小学生でも製作できる工作を提案し,モーターの回転をプーリーで減速して接続する理科と融合した題材が提案できた.さらに,スイッチによるON/OFF制御できるようにすれば,コンピュータ制御の学習に展開できることを示すことができている. エネルギー利用学習の発展としてロボット学習を検討した.Raspberry Pi,Studuino に注目し,プログラム学習とエネルギー利用(変換)学習を組み合わせる学習方法を検討した. Raspberry Pi で無線LANサーバー機能を持たせた制御教材が提案でき,Studuino では小学生でもプログラミング可能なスクラッチの利用を提案した.図画校作の要素を組み込むことで創造性の育成に関連するが学習へと展開できる可能性がある.また,ただ組み立てただけではプログラム通りに動かないことを前提とした「負の要素を活用する学習方法」として,課題の発見から解決を組み入れた学習習方法を提案できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校の理科,図画工作科,理科・図画校作融合教材として,光電池とLEDを組み合わせたランタン,中学校の導入的教材としての乾電池1本で使えるLEDキャップ,コンデンサ自動車の改良を進めるとともに,クランク機構を使った動くおもちゃを扱った教材などの開発を進めることができた.コンデンサ自動車・クランクを利用したおもちゃなど,開発した教材の幾つかは授業実践を行うことで,活用に関する課題を検証し,活用しやすい教材として改良する方針を明らかにすることができた. プログラムと制御を組み合わせた学習方法としても,レゴマインドストームNXTでの小学生対象の実践的な検証を進めることができている.また,Studuino を使った学習では中学校の技術科のガイダンス教育として扱うことができる可能性がある.へと発展させられるの扱ったモーターカー教材を題材にした学習において.赤外線センサーの誤動作(外乱),重心のずれによるタイヤのスリップなどの「ロボット製作における負の要素」に注目し,ただ組み立てただけではプログラム通りには動作しないが,うまく動作しない原因を調べる学習を行い,改善方法を検討して,ロボットを改良することによって,ロボットをプログラム通りに動作させることができるという学習方法が提案できた. 理科と図画校作に連動させる学習としては,自動的に反応する(光る・動く・音を出す)作品を創ることができる可能を示すことができた,図画工作と理科を連動させることで小学校における創造的な授業実践の可能性を示すことができたと言える.
|
今後の研究の推進方策 |
小学生から活用できるエネルギー関連教材として,光電池とコイン型電池を組み合わせたランタン,LEDキャップ,コンデンサ自動車などの改良を含めた教材開発・改良をさらに進め,授業活用しやすい教材に仕上げていく.開発した教材は,学校の授業や学校外の施設を使った各種ワークショップで実践的な検証を図る. コンピュータ制御学習としては,RaspberryPi,Arduino(Studuino),レゴマインドストームなど色々な教材の可能性に関する検討をさらに進める.単に組み立てればできあがるという発想から,様々な不具合を解消する方法を検討するという課題解決型の学習の提案を行う.Studuinoを使った題材としては,モーターカーという中学校の技術で扱う教材,および,遊園地のようなモーターカーとは異なる発想の教材として活用する方法について検討を進めていく.授業の進め方に関しても検討を進め,学校においては図画工作を組み合わせた学習方法の開発と実践的な検証を進める. エネルギー利用については,発電と節電的な利用方法を組み合わせた総合的な学習方法を提案し,小学校から中学校につながる段階的なカリキュラムの提案をする.
|
次年度使用額が生じた理由 |
第2年度までに開発した様々な学習教材を複数の協力学校で授業実践を行って検証する計画であった.しかし,新しい授業の提案であるために,幾つかの協力学校では授業に組み込むための調整がうまくいかず,最終年度で実施することになった.そのため,それらの授業実践に関わる教材費(物品費)や教材作成の準備に関する謝金などにかかえる経費を持ち越すことにした.
|
次年度使用額の使用計画 |
第2年度に実施予定であったが,最終年に持ち越した授業実践で使用する教材費および教材作成の準備に関する謝金として使用する.
|