研究課題/領域番号 |
26282045
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文学部, 教授 (20323199)
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研究分担者 |
葛岡 英明 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (10241796)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
望月 俊男 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (50379468)
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
久保田 善彦 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (90432103)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自律的チーム編成 / 貢献とスキル交換 / 双方向債務感覚 / 協調学習 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本研究は、与えられたチームの枠内で有能に振る舞うのではなく、自律的かつ柔軟に目的に応じたチームを構築・再構築していくような協同学習デザイン能力(自律的組織構築能力)を備えた人材の育成をゴールとすることである。
昨年度は、社会関係資本の知見と交換論・贈与論の知見を組み合わせることで、双方向債務感覚に基づく交換という概念を提案した。これは、本来、何かをして貰ったことにとって発生する「返済義務(お返しをする義務=債務)」を、何かをしてあげた時にも発生すると考えるものである。すなわち、何かをして貰った学習者は「誰かに何かをしてあげる義務」を負い、何かをしてあげた学習者は「何かを誰かにしてもらう(助けてもらう)義務」を負うようする。そして、義務を果たした時(つまり、「助けてあげた人が、誰かに助けてもらえた時に」、「助けてもらった人が、誰かを助けてあげた時に」)に初めて価値が生じる。このような交換システムを活動の基盤におくことで、「与えるだけの人」と「貰うだけの人の」の分離固定を回避し、集団内で被支援体験を蓄積し、社会関係資本を育てることができる。これが、自律的組織構築につながっていく。この交換方式をとりいれた協同作業を大学の授業の中でおこない、効果を確認した。特に、学習者らは、チームにとって自分の存在が意味あると考えるようになった。また、人に頼ることに対する躊躇いが低減した。
この方式を実施するためのWebシステムを開発した。これは、助け合いの実績をスマートフォンを用いてリアルタイムに入力、双方向債務と価値発生の状況を視覚化するものである。現在、全機能の実装が終わり、細かい修正を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに提案した手法を実施するためのウェブベースのソフトウェアの開発がほぼ完成している。今年度は、細かい修正をした上で、授業実践の場における検証、教師用/学習者の利用マニュアルの制作、公開準備に入ることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
提案した手法の効果測定を、開発したシステムを授業で利用しながら茨城大学、宇都宮大学、専修大学等において実施する。システムの改良は、葛岡(筑波大)の指導のもと大学院生の補助を得ておこなう。手法自体の効果検証をより精緻におこなう必要があり、それは、システムを利用しない形でも実施することでリスク分散をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
筑波大学の大学院生にシステム開発補助を依頼する予定であったが、システムのテスト、修正に関する作業が次年度にずれ込んだ。そのため、謝金および、消耗品を次年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
システム開発のための謝金および消耗品として当初予定どおり執行する。
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