研究課題/領域番号 |
26282047
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
柏原 昭博 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10243263)
|
研究分担者 |
長谷川 忍 北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30345665)
光原 弘幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90363134)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 教育工学 / 調べ学習 / 学習モデル / 認知ツール / Webマイクロワールド |
研究実績の概要 |
人類の知の集積・流通メディアとなりつつあるWebにおいて、膨大かつ多種多様な情報リソース群を探究しながら調べ学習する能力は現代の知識社会では極めて重要である。このようなWeb調べ学習能力の獲得にとって学び方の習得が不可欠であるとの観点から、平成26年度はモデルベースの習得支援を可能とする認知ツールを開発した。具体的には、次の1~4を行った。
(1)Web調べ学習モデルの構築と認知ツールの開発:Web調べ学習における学習プロセスを分析することでWeb調べ学習モデルを構築した。本モデルでは、学習課題解決に資する情報をWeb空間から分節化・構造化する操作を学び方として表現している。また、Web調べ学習モデルにそった学習プロセスの遂行を可能とし、情報の分節化・構造化を支援する機能を持つ認知ツールを開発した。 (2)認知ツールの操作習得支援メカニズムの開発:学び方習得レベルに応じて認知ツールの操作機能・支援機能を段階的に取り除くことで学習スキルを高めるFadable Scaffolding技術を開発した。 (3)予備実験:Fadable Scaffoldingの稼働テストを含めて、認知ツールを用いたWeb調べ学習を遂行させる予備実験を実施した。また、その結果に踏まえて、学び方習得レベルに応じて学習者自らツールの操作機能や支援機能を取り除くようにツール操作習得支援メカニズムを見直した。 (4)Webマイクロワールドの基本設計:Webマイクロワールドで取り扱うべき有用なWeb調べ学習課題を収集・分類するとともに、LOD(Linked Open Data)に基づき調べ学習に有用なWebリソース群を収集する方法について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Web調べ学習モデルの構築、認知ツールの開発は、ほぼ計画通り進めることができたが、予備実験を通して学び方の習得レベルに応じてシステムが適応的にツールの操作機能や支援機能を除くAdaptive Fading/Scaffoldingよりも、学習者が自らの習得レベルを判断して段階的に機能を除くFadable Scaffoldingのほうが学び方の習得にとって実効的であり、有用であるという知見を得た。 以上のようなツール操作の習得支援方法の見直しに少し時間を要したため、計画よりもWebマイクロワールドの基本設計に関する研究成果の公表がやや少なくなってしまったが、学習スキルを高めるためのより有効な認知ツール利用方法を見いだすことができた。 以上のことから、現在までの達成度を②と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度検討したWebマイクロワールドの基本設計に関する研究成果の公表を進めることで、マイクロワールドで扱うべき学習課題や学習リソース収集方法を洗練する。特に、調べ学習熟練者や学習コミュニティでの調べ学習を分析対象として、学習課題解決の解となる学習プロセスを同定する手法を開発する。そして、Webマイクロワールドの設定を制御する方法として、利用可能とするリソースの総数や多様性の度合いを調整するメカニズム、および学習課題の解プロセスをもとにしてWeb調べ学習の足場を築くメカニズムの開発につなげていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
認知ツールに関する研究成果を学術論文として公表したが、その掲載費請求が年度内になされなかったこと、およびWebマイクロワールドの基本設計に関する研究成果を公表する機会を年度内に十分得ることができなかったためである。特に、公表に適した国際会議の開催時期が合わなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度の研究成果を公表した学術論文掲載費に、本年度未使用分の一部を割り当てる。また、次年度の研究費使用計画として、旅費以外は当初の計画通りに使用する予定であるが、本年度得られたWebマイクロワールドの基本設計に関する研究成果の公表も含めて、次年度の研究成果公表を進める予定であり、本年度未使用分を含めて旅費に割り当てる予定である。
|