研究課題/領域番号 |
26282048
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80212786)
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研究分担者 |
瀬田 和久 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50304051)
松田 憲幸 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (40294128)
仲林 清 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20462765)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メタ認知 / 経験学習 |
研究実績の概要 |
基盤ツールの開発 :本申請課題の基盤ツールとして経験学習プログラム設計支援ツールのプロトタイプ版を開発した。ツールの設計にあたっては、教育理論・学習理論に関する基礎を理解している利用者を想定し、メタ認知スキルの修得を目的とした経験学習・認知的徒弟制を基礎にした学習プログラムの構築を支援するために、オントロジーを参照しながら学習プログラムを構成し、学習理論への整合性を対話的に簡易検証できるような機能を設計・試作した。
オントロジーの構築: メタ認知スキルの形成を目的とした経験学習に関する関連研究をサーベイするとともに、既に実践している教育プログラムを分析(設計時の意図を再構成)し、学習者が自分の学習経験に基づいて、他の学習者の学習を支援することによるメタ認知スキルの学び(Learning by Teaching)の概念化を中心として、学習者・学習課題・学習目的・学習形態の特性を整理し初期オントロジーとして体系化した。
試用実験:初期オントロジーを実装したツールを用いてツールを用いた試用実験を行った。各プログラムの設計目的・設計意図を基盤ツールを用いてモデル化し、教育実践を通じたデザインループが適切に回りうるかどうか検討した。大学院生を被験者とした小規模なデザインレビューを行った結果、モデル表現が難解であるために、医療現場での看護師を想定した実証実験での使用には適さない点が多々あることがわかった。この点を改善するための、モデル表現の改良を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に想定した3つの研究副目的について、基盤ツールの開発とオントロジーの構築については、順調に進んでいる。しかし、試用実験は、当初、教育現場(病院)での実験を想定していたが、当該年度には実施できなかった。その理由は、研究室内での試用実験において、設計意図の表現モデルが複雑で、本研究で想定するユーザが利用することは難しいことがわかったためである。このような状況を踏まえて、達成度を上記のように自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
学習設計意図のモデル表現を、簡易なものに改訂したうえで、当初の研究計画を推進する。現時点で4ヶ月の遅れであるが、実証現場との連携体制も良好であるため、遅れの回復には問題はない。平成27年度の具体的な目標は下記のとおりである。
試用実験の対象を2つの観点から拡大する。 (観点1)教育プログラムの時間スケールの拡大:少人数・ワークショップ型・二日間の看護師向け看護実践教育プログラムについて、ワークショップ後の3ヶ月間の課外学習まで包括するようなモデルに拡大する。ワークショップ中の教育目的・教育方法と、課外学習でのフォローアップをツールを用いてモデル化し、教育実践を通じたデザインループが適切に回りうるかどうかを検討する。 (観点2)教育プログラムの種類の拡大:[多人数・一斉講義・90分×15回]型の学部生専門科目、[少人数・研修・4時間]型の理学療法士対象の教育プログラム、[ 少人数・OJT・6ヶ月]型の新入社員研修プログラムを対象としてツールを用いてモデル化し、オントロジーとツールの有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
システムの試行実験において問題が明らかになり、システムの改良が必要となった。このため、本年度に予定していた看護現場での実証実験を次年度に実施することとした。そのため、主に実証実験に必要な旅費と謝金を繰り越す必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
システムの改良を早期に完了させ、実証実験を実施する(3~4ヶ月遅れ)。次年度使用額は、当初の研究計画に沿った実証実験のための旅費と謝金として執行する。
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